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新エネルギーの可能性を探る 「水素社会体感ツアー」に神戸市の高校生30名が参加

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企画特集

「Hy touch 神戸」見学の様子

 川崎重工業、パナソニック エナジー、岩谷産業の3社が企画した「水素社会体感ツアー」。世界的にも水素エネルギーの実証・実装が進む関西エリアの水素関連施設を現地視察し、最後は大阪・関西万博で開催される「未来を変える!Hydrogen Week」の展示会場を見学する行程で、参加者に次世代エネルギーの可能性を感じてもらうことを目的に実施された。
 9月23日のツアーでは、神戸大学附属中等教育学校の生徒13名、兵庫県立北神戸総合高等学校の生徒17名、教員3名の計33名が参加した。
 まず一同は、座学にて30分ほど水素サプライチェーンの説明を受けて、これから始まる実地視察の基礎知識を学ぶ。その後、バスで神戸水素コージェネレーションシステムへ移動する。ここは世界初の水素100%で発電するガスタービンを使用した火力発電所で、できた電気と熱を病院やスポーツセンターなどに供給している。次の見学は、Hy touch 神戸。生徒たちは直径19メートルの液化水素貯蔵タンクの大きさに驚きながら、液化水素運搬船で運ばれた大量の水素を「ためる」技術について説明を受けた。
 水素バス車内で昼食をとりつつ向かったのは、2023年11月から乾電池の生産拠点として本格稼働したパナソニック エナジー株式会社の二色の浜工場。乾電池の製造工程や電池事業の歴史を展示ともに職員の説明を受けながら学習。水素を「つかう」を現場として、純水素型燃料電池と太陽光発電、蓄電池を組み合わせてエネルギーマネジメントシステムで効率的に再生可能エネルギーを利用する様子を見学した。

「二色の浜工場」内にあるEVOLTA NEOを模した水素タンク

 バスを降車した後は、水素燃料電池船「まほろば」で万博会場へ向かう。水素燃料電池船は、水素と空気中の酸素のみを使った「燃料電池」で発電した電気と「プラグイン電力」のハイブリッド動力で航行しており、従来のエンジン駆動の船に比べて大きな振動や燃料のにおいもないため、快適な船旅だったと声が上がった。
 水素燃料電池船を降りた後は大阪・関西万博会場に移動。西ゲートから入場して、大阪・関西万博の「地球の未来と生物多様性ウィーク」の「未来を変える!Hydrogen Week」内で水素エネルギーを身近に体感できるプログラム「水素パーク!!」を見学する。これまでの視察で得た学びと結びつけながら、未来の暮らしや産業における水素の活用について理解を深めた。

水素燃料電池船「まほろば」

 参加した生徒からは「水素という元素が身近なものになった」「自分の住む関西にこんなに水素に関係している施設があるとは知らなかった」など新鮮な感想が聞こえた。水素エネルギー利活用への理解を深めることは、エネルギー自給率などの諸課題を抱える日本の未来を考えることにつながっている。今回のツアーを通して次世代を担う高校生たちの明るい未来への期待が膨らんだに違いない。

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