不登校をチャンスに変える一生モノの自信の育て方
14面記事
福田 遼 著
留意点添え八つの解決手法示す
著者らが運営する「ティーチャーティーチャー」という子育てに役立つ情報を発信するポッドキャスト番組が、「第5回JAPAN PODCAST AWARDS」(2024年)大賞を受賞するなど評判のようであるが、本書は人気の秘密が垣間見える一冊である。
不登校=34万人時代で、それは珍しいことでなくなったとしても保護者にとっては大きな心配事である。そうした不安を「子どもが(学校で失った)自信を取り戻すチャンス」だと前向きに捉え返し、三つのステップと八つの解決メソッドを提示し、悩みに寄り添う。
これらは特段新たな処方箋でもなく、これまで関連書で多く提示されてきた方法であるが、そうした先行研究の知見を踏まえ、むしろ分かりやすく再提示する点に特徴がある。冒頭のポッドキャスト番組のように。
小学校教師であった著者の経験談でもなく、諸科学で一定の評価を受けてきた方法について、取り扱い注意点までも添えられたレシピは試してみたくなる。面白いのはそれが不登校の子どもに対する親だけでなく、管理職が若い教職員に向けても応用可能な点である。
学校という魅力的だが抑圧的でもある箱に疲れているのは子どもたちだけでないのかもしれない。著者が運営するフリースクールはオンラインコミュニティも持っている。人は関係の中で疲れ、しかしつながりによって癒やされる存在なのである。
(1760円 KADOKAWA)
(元兼 正浩・九州大学大学院教授)


