教育ビジネス
13面記事
宮田 純也 著
転換期の「新常識」網羅的に解説
本書は、クロスメディア・パブリッシングが刊行している「業界ビジネスシリーズ」の一冊である。著者は、全国から数千人の教職員が参加する日本最大級の教育イベント「未来の先生フォーラム」を創設し、代表理事を務める宮田純也氏。本書を読めば、教育の転換期を生きる者が押さえておくべき「新常識」が理解できるだろう。情報革命という名の社会革命が起こり、社会の形や在り方が大きく変わろうとしている現代において「自らさまざまな価値観や目標をつくり、行動する能動的な人を育む教育に転換する必要がある」と著者は強調する。
本書は九つの章から構成されており、変化の時代の教育ビジネスについて網羅的に整理されている。各章五つか六つ、合計52の重要トピックが並べられており、章末にはコラムも付されている。各トピックはそれぞれ3~6ページで要点がコンパクトにまとめられていて、非常に読みやすい。
探究学習、不登校問題、少子化、STEAM教育、オンライン教育などテーマは多岐にわたっており、現代の教育のありようを理解する上で避けては通れない基礎的な知識や考え方(「学習指導要領はどうやって決まるのか」「コンピテンシーベースの学びとは何か」「大学全入時代とは何か」など)が紹介されている。教育業界の現況を概観し、重要ワードを押さえる上で便利な一冊である。
(1848円 発行 クロスメディア・パブリッシング 発売 インプレス)
(井藤 元・東京理科大学教授)


