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中学の運動部、平日1時間以内が2割

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 中学校の運動部のうち、平日の活動時間が1時間以内の割合は2割に上ることが笹川スポーツ財団の調査で分かった。国の指針は平日で最長2時間程度としているが、その半分程度に抑えている部も一定数あったことになる。調査では世帯年収によるスポーツ体験の格差が明らかになったことから、調査報告書では、財政支援により部活動を存続させることの意義を訴えた。活動の効率化は、その後押しとなる可能性がある。
 調査は今年1月、中学生がいる世帯の保護者を対象に、在籍している中学校の国公私立の区別なく実施。登録モニターとなっている男女合わせて3136人からインターネット経由で有効回答を得た。部活動と共に、子どもが属しているスポーツクラブについて、実態、保護者の考え、年収との関係などを調べている。
 部活動の加入状況は、運動部が51・5%、文化部が27・9%、非加入が20・6%。スポーツクラブの加入率は16・2%だった。
 世帯年収と加入率の関係では、運動部の場合、400万円未満で42・3%。全体より10ポイント近く低かった。運動部・文化部ともに非加入だった割合は3割近くに達した。スポーツクラブ加入率は9・0%で、やはり全体より低かった。
 運動部の活動時間は、平日の場合、「30分くらい」が1・1%、「1時間くらい」が18・9%、「2時間くらい」が65・9%、「3時間くらい」が12・9%で、4時間以上との回答もあった。
 休日の活動時間は、国の指針で「長くとも3時間程度」となっている。調査結果は、「30分くらい」が0・3%、「1時間くらい」が1・7%、「2時間くらい」が25・6%、「3時間くらい」が49・2%。指針が示す上限の半数以下の部が3割近くを占めた。
 部活動・スポーツクラブ活動に関する家庭負担額の平均は運動部が5万857円、文化部が13万866円、スポーツクラブが15万5799円。スポーツクラブは運動部の約3倍に上った。
 この調査には、早稲田大学スポーツ科学学術院の中澤篤史教授が共同研究者として参画している。まとめと提言として、「(部活動の)地域移行がそのまま完遂されて学校が運動部から手を引いてしまうと、中学生のスポーツ機会の格差はますます広がっていってしまう」と指摘した。
 今後について、「運動部活動システムに財政支援する発想が抜けている」「運動部活動システムはスポーツ機会格差を縮減する機能を果たしているのであり、それを有効に活用し直すことは合理的」と訴えている。

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