年内学力入試、否定的意見が6割超 高校教員「授業や行事に影響」
NEWS 学力テストを伴う総合型や推薦型の大学入試(年内学力入試)について、高校教員の6割超が否定的に捉えているとする調査結果を大手予備校の代々木ゼミナールが公表した。授業や学校行事への影響を懸念する声が7割を超えた。
今年9~10月にかけてインターネットで実施し、高校で受験指導や進路指導を担当する教員370人(公立207、私立168)から回答を得た。
総合型選抜は学力試験では測れない力を多面的に評価することなどを目的として、一般入試より半年近く早い9月から実施を認められている。
ただ関西の私立大学では学力試験のみの総合型選抜が広く実施されており、昨年、都内でも一部の私大が導入して受験者を増やしたことで問題が表面化した。大学・高校の代表者が協議した結果、小論文や面接・実技を組み合わせることを条件に容認した。それを受けて、今年は首都圏を中心に実施大学が増えていた。
調査で年内学力入試の拡大が「好ましいか」を尋ねると、「当てはまる」と答えた人は4・6%にとどまり、「当てはまらない」「あまり当てはまらない」が66・2%だった。ただ公立と私立で受け止め方は異なり、肯定的な意見は公立で25・3%だったのに対し、私立では44%だった。
授業進行や学校行事への影響が大きいかを聞くと「当てはまる」「やや当てはまる」が75・7%を占めた。
年内学力入試が拡大すると勉強する生徒が増えると思うかを質問したところ、「当てはまらない」「あまり当てはまらない」が75・2%と否定的な回答が多かった。特に一般入試を重視する高校でこうした傾向が顕著だった。
一方、年内学力入試の拡大が、総合型・学校推薦型選抜の受験者増につながると考えている教員は多く、79・2%が今後受験する生徒は増えると考えていた。
調査結果からは年内学力入試に対する不満の声が目立ったが、自由記述では「事前提出書類で合否が決まる現状は不公平で、担任の指導力に左右される」「内部推薦や指定校推薦で入学する生徒が増え、学習意欲が低下している現状を改善できる」と肯定的な意見もあったという。
代ゼミ教育情報センターでは「面接や小論文よりも学力試験による客観的評価を望む声も多く、評価方法の透明性を求める意見が目立った」と分析している。


