文科省・こども家庭庁がいじめ重大化防止の事例集を作成
NEWS 文科省とこども家庭庁は11月21日、いじめ重大事態調査報告書の分析結果をまとめ、「いじめの重大化を防ぐための留意事項集」として公表した。「特別な支援を必要とする児童・生徒への支援」など15項目を掲げている。
特別な支援が必要な児童・生徒に関しては、対人関係上の困難さが発生しやすいこと、いじめの加害者にも被害者にもなりやすいなどと解説。行動の背景には、発達障害の特性、コミュニケーションのずれ、傷つけられた経験などがあるとした。
対策としては、被害者となった場合も加害者となった場合も、カウンセラーやソーシャルワーカーを交えた協議や、学校外の専門機関との連携を示した。
政府は昨年11月の関係省庁連絡会議で、国に提供があった重大事態調査報告書を分析するための専門家会議を設けることとし、今年1月から会議を開いてきた。
会議は、杏林大学の清原慶子客員教授(前東京都三鷹市長)を座長とし、関西大学の新井肇教授らで構成した。まとまった留意事項集では、調査報告書を基に、なぜ重大化したのか、どう対応すべきだったのかを分析。先入観を持って対応しない、「大丈夫」などの言葉の真意に気付くといったことなどを求めている。
各章では、実際の調査報告書を基にいじめが重大事態化するまでの過程を例示。問題となった対応や、取るべきだった対応を整理した。章末にはチェックリストを設け、章内の重要事項を確認できるようにした。
特別な支援が必要な子どものいじめ対応時の注意事項や、子ども、保護者、地域との協力が重要となる事例などをまとめた。
日ごろから学校・学級づくりで意識してほしいポイントや、子どもたちへ相談を促すメッセージも盛り込んだ。
総論部分では、「調査報告書と分析を踏まえて作成したもので、重大化要因の全てを網羅するものではない。他にも留意事項があるため、培ってきた経験も踏まえて、活用してほしい」「学校や教委の日常的な取り組みと問題に気付いたときの初動が大切。多くの調査報告書で、いじめの重大化を防ぐ取り組みが形だけで中身が伴っていなかった」と注意喚起している。
併せて、教職員向けの研修用事例集も作成した。小・中学校、高校で架空の事例を2つずつ用意。気になった対応や自分で取る対応などを書き込むワークシートや、その想定回答例、解説で構成されている。「留意事項集」に紐づいた説明も載せた。


