謎ルール 10代から考える「こんな社会」を生き抜く解放論
13面記事
内田 樹 監修 高部 大問 著
立ち止まり問い直す大切さ説く
いまの世の中には、さまざまなルールが存在している。国には憲法や民法・刑法があり、学校には校則、そして、会社には就業規則がある。このような文章で書かれた成文律だけではなく、社会常識や慣習などの不文律もある。私たちは、こうした多種多様なルールに囲まれて生活している。数々のルールがあり、私たちがそれに従って生きていることで、安定した社会生活が営まれるのである。これはルールの恩恵であるが、他方で、ルールの中には、それが作られた目的が不明だったり、現在の社会の状況にはそぐわなかったりするものもある。これが、謎ルールである。
しばらく前に目にした新聞の投書では、「学校の体育着はなぜ白色と決まっているのか。紺色ではダメなのか」と、中学生が疑問を投げ掛けていた。きっと教師は、こう答えるだろう。「この学校では、白と決まっている」
大人の言うことに唯々諾々と従うのか、それとも、謎ルールのルーツを探ろうとするのか。それは、ルールへの絶対的服従か、あるいは、ルールの変革への道か、大きな分岐点となるだろう。謎ルールを前にして、一歩立ち止まり、自らの頭で考えてみることが、人間的成長にとって何より大切である。本書は、多数の先人たちの思想の紹介に基づいた論考によって、若者たちが謎ルールに挑むマインドを持ち続ける大切さを強く訴えている。
(1980円 発行 時事通信出版局 発売 時事通信社)
(都筑 学・中央大学名誉教授)

