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14面記事

書評

阿部 利彦・川上 康則・菊池 哲平 編著
教育のUD化への理解深め

 通常学級に在籍する児童・生徒の8・8%が配慮を要するとの調査結果が示されているが、現場に入ると外国にルーツを持つ子などの多様性が広がり、それ以上の割合の高さを感じる。それに伴い、全体指導と個別指導の狭間に悩んでいる教員の姿が気になる。平成24年の中央教育審議会答申は「すべての教員は特別支援教育に関する一定の知識・技能を有していることが求められる」と述べている。
 このような中、ユニバーサルデザイン(以下「UD」)の視点を取り入れたインクルーシブな授業づくりや学級経営は、特別支援が必要な子どもにとどまらず、全ての子どもたちの学びを豊かにするものとして注目されている。
 本書は、特別支援教育の専門家3人と、現場で教育のUD化に力を発揮している7人の教員それぞれとの鼎談方式で、具体的な授業や学級づくりの経験を基に語り合っている。専門家の問い掛けにより、ゲストの思いや実践が分かりやすく深掘りされ、価値付けられ、読み進めていくほどに、インクルーシブな学級づくりの目標と教育のUD化についての理解が深まっていく。そして、教師の肯定的なまなざしと学級の支持的な風土の重要性が全章を通して貫かれている。
 全ての教員のキャリアプロセスとして、通常学級と特別支援学級との往還の提案もうなずける一冊である。
(2200円 東洋館出版社)
(中川 修一・前東京都板橋区教育委員会教育長)

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