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教育環境の改善と防災力強化に3545億円 文科省・令和7年度補正予算が成立

17面記事

施設特集

老朽化対策と避難所機能の強化を一体で推進

 近年、学校施設は築40年以上を超えるものが急増しており、耐震性や衛生環境、暑さ対策など、多方面での改善が喫緊の課題となっている。さらに、学校は平常時の学習の場であると同時に、災害時には地域住民の避難所としての役割も担う。今回の補正予算は、こうした2つの役割を支える基盤整備を一体的に進める点に特徴がある。
 公立学校施設分として計上された3545億円は、児童生徒・学生の安全確保、教育環境の向上、老朽化対策、耐震化、防災機能強化、トイレ改修、脱炭素化、さらには地域の学びを支えるイノベーション拠点整備までを幅広く対象としている。事業内容に応じ、整備費用の3分の1から2分の1が国庫補助される。
 中でも注目されるのが、学校体育館への空調設備整備である。約600億円を投じ、災害時にも利用可能な断熱改修と併せた空調設備の導入を進める。体育館は多くの自治体で指定避難所となっているが、夏季や冬季の環境改善は長年の課題であった。今回の措置は、熱中症対策や長期避難への対応力を高めるものと位置付けられている。
 このほか、学校給食調理場の整備に約114億円を計上。衛生管理の高度化や作業環境の改善を通じて、安全・安心な給食提供体制の強化を図る。また、大規模災害時に被災地外から教職員を派遣する仕組みである「D―EST(ディーエスト)」の体制強化も盛り込まれている。

災害復旧に263億円能登半島地震・豪雨被害からの早期復旧へ

 学校施設の災害復旧関連では263億円を計上した。令和6年の能登半島地震や豪雨により被害を受けた学校施設・設備の復旧を迅速に進めることが目的である。内訳は、公立学校・社会教育施設が158億円、国立大学・高等専門学校が48億円、私立学校が29億円などとなっている。
 被災地域において学校の再開は、子どもたちの学びの継続だけでなく、地域の復興を支える重要な要素である。今回の補正予算は、教育活動の早期正常化を後押しする意味合いも大きい。
私立学校施設の防災機能強化に116億円

 私立学校施設の防災機能強化にも116億円が計上された(うち私立幼稚園施設整備支援20億円を含む)。私立学校の約5割が指定避難所に指定され、私立大学等の約8割が地域住民の受け入れや物資提供など、防災拠点としての役割を担う予定とされている。
 こうした実態を踏まえ、耐震化に加え、バリアフリー化(多目的トイレやスロープ)、自家発電設備、屋外防災施設、防犯カメラ、空調・換気設備などの整備を支援する。学校施設を「使える避難所」に高めるための投資といえる。

理工農系施設や体育施設の整備も

 産業構造の変化に対応する人材育成を見据え、理工農系分野の教育研究施設・設備整備にも30億円を計上した。実験・実習環境の充実を通じて、実践的な学びを支えるねらいがある。
 また、学校のプールや武道場など体育・スポーツ施設の新改築には22億円を確保した。老朽化が進む中、地域の多様なニーズに応える施設整備を進めるとともに、避難所機能の向上や脱炭素化への対応も図る。
 今回の補正予算は、学校施設を「学びの場」であると同時に「命を守る拠点」として再構築する方向性を明確に示したものである。そのためにも、教育環境と防災の両立をいかに具体的な整備につなげていくかが、今後の自治体・学校現場に問われている。

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