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高校「公共」向け新教材を公開 探究学習を支える横断的構成

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広島大附属中・高の阿部哲久教諭
経済学的な「見方・考え方」を育成

 広島大学附属中学校・高等学校の阿部哲久教諭がこのほど、高校「公共」の授業で活用できるオリジナル副教材「『公共』のための経済」を作成し、ウェブ上で無料公開した。
 この教材は、令和6~7年の広島県金融広報委員会および金融経済教育推進機構(J‐FLEC)の研究校指定に基づく助成を受けて制作されたもので、生徒が社会的課題を探究するために必要な経済知識を体系化している。

広島大学附属中学校・高等学校 阿部哲久教諭

教科書の限界を超えて

 作成の背景には、現行の「公共」の教科書に対する阿部教諭の問題意識があった。見開きで一つの単元が完結する構成が多く、授業も順を追って進められがちだ。
しかし、「公共」で求められる社会的な課題について議論するには、単元の枠を超えて知識を横断的に参照する必要がある。そこで阿部教諭は、必要な経済的概念や理論に自在にアクセスし、ページを「行ったり来たり」しながら理解を深められる教材を目指した。

概論と深堀りで理解促す

 教材はPDF形式の全60ページで、「自由な市場と経済」「政府の役割」「社会保障制度」「税金」など10章で構成される。各章は「概論」と「深掘り」に分かれており、まず全体像をつかんだ上で、必要に応じて詳細な解説へと進むことができる。
「インフレ」について調べると、その前の章の「金融のしくみ」に登場する「インフレ率」の説明にたどりつくなど、キーワードを通じた横断的な学習ができる。

本質に迫る思考実験

 本教材の大きな特徴は、「経済学的な見方・考え方」の習得を重視している点にある。「為替相場」の章には「もし広島県だけ独自通貨『広島円』を導入したら?」というコラムがあり、「1広島円=2日本円」で両替された場合、物価や給料はどうなるかという思考実験を促している。こうした問いかけが、市場の調整メカニズムの本質的な理解につながる。
 阿部教諭は「経済学的な見方・考え方を働かせれば、良かれと思った政策が意図とは逆の結果を招く可能性もあることに気づくことができる。そうした複雑なつながりを理解し、社会課題を議論できる力を育みたい」としている。
 執筆にあたっては、生徒が親しみやすい語り口となるよう工夫しつつ、最新の研究や専門家の議論を踏まえて内容を練り上げた。教材は下記リンクを通じて誰でも閲覧・利用できる。阿部教諭は「授業の副教材として広く活用してほしい」と呼びかけている。

 オリジナル副教材「『公共』のための経済」のDLはこちらから

 問い合わせ=広島大学附属中学校・高等学校 082・251・0912

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