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自分も人も大切にする学校の12カ月 箕面こどもの森学園の実践から

12面記事

書評

箕面こどもの森学園 著
オルタナティブ教育の現場追体験

 箕面こどもの森学園は、大阪・箕面市で約20年にわたり実践を積み重ねてきたオルタナティブスクールであり、「自分も人も大切にする」教育を体現している学校である。本書は同学園による3冊目の書籍であるが、最大の特長は教育実践の語り方にある。主人公は26歳の元公立小学校教員ユウキであり、インターンとして過ごした1年間の体験を一人称視点で描き出す構成となっている。
 4月から翌年3月までの教育の日常を追体験するうちに、読者は教室の内側に分け入り、子どもと大人の関係性や学びの現場の息遣いを実感することになる。月ごとに付された解説や七つのコラムは、ユウキが体験したエピソードを同学園の教育理念へと架橋する役割を果たし、実践の背後にある教育哲学を読み解く視座を与えてくれる。
 偶然にも、評者は刊行直後に同学園を訪れたのだが、本書を通読する中で、視察当日に評者の内に湧き起こってきた驚きや感動が鮮やかによみがえってきた。子どもやスタッフのまなざし、現場の空気感が生きたまま写し取られているからだろう。なお、2026年4月には、兵庫県に私立学校「六瀬ほしのさと小学校」が開校し、新たな段階へと進む。「自分も人も大切にする教育」は、オルタナティブスクールだから実践できるのではなく、どの学校においても実践可能であるという希望を与えてくれる一冊である。
(1980円 築地書館)
(井藤 元・東京理科大学教授)

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