子どもの「好き」を「生きる力」に育てる 親子ではじめる10歳からの起業家教育
12面記事
森 博樹 著
自ら選び、やり抜く循環提示
本書は、学童保育型アントレプレナーシップ育成スクール「キンダリーインターナショナル」を10年以上運営してきた著者の実践知がまとめられたものである。タイトルにある起業家教育とは、単に「稼ぐ力」を身に付けることを目指すものではない。予測困難な未来を自分自身の足でたくましく歩んでいくための生き抜く力(主体性)の育成を目指す教育を意味する。著者は主体性の根幹をなす要素として、「やってみたい」という内発的動機、自ら選び行動する自己決定力、やり抜く力の三つを挙げる。これらを育てるため、子どもの内発的動機を社会とつなぎ、自己決定力とやり抜く力を循環させる5ステップの成長循環メソッドを提示する。
その内容は、(1)好きを見つけ→(2)自分ごととして計画し→(3)小さく行動し→(4)振り返り→(5)もっとやってみたい! という意欲を育む、という流れである。この実践において親は「教える人」ではなく「伴走者」となることが求められる。また、結果ではなくプロセスを認め、失敗を学びの機会として受け止める姿勢が重要だと説く。
本書で示される考え方は、学校教育における探究的な学びとも深く通じている。「家庭内の困りごとや不便さをプロジェクトの種とする」「週末の計画を子どもに任せる」など、家庭内ですぐに実践できる起業家教育の実践例が示されている点も本書の魅力である。
(2200円 学事出版)
(井藤 元・東京理科大学教授)
