日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

人生や社会をよりよく生きる力の涵養を

14面記事

書評

教育フォーラム62
新学習指導要領が最終的に目指すもの
梶田 叡一 責任編集
日本人間教育学会 編
人生に学び生かす実践紹介

 大きく動きつつある現代社会において、子どもたちは社会生活や職業生活の在り方に対応する力を身に付けなければならない。しかし「人間」そのものが見失われ、「社会的に役立つ駒」を育成する教育となってしまっては本末転倒。いたずらに、時の政府の経済政策に従属する「人材育成」や、激しい社会の変化に対応する「人づくり」だけになってはならないのである。
 新しい学習指導要領では、「学びを人生や社会に生かす力の涵養」という大きな目標が示されている。「社会」での働きにのみ視点を絞るのではなく、その土台となる「人生」のことを教育課題として忘れてはならない、というメッセージなのである。
 では、この本質的な教育課題に対して、具体的にどのような授業展開をすればよいか。本書では、梶田叡一氏の巻頭論文「人生や社会をよりよく生きる力の涵養を」を受けて、第一線の研究実践者が国語教育、読書、算数教育、自然観察、和文化教育、美術教育、音楽教育、健康教育の各分野を通して、よりよく生きる力を育むための工夫と実践を紹介している。また、関連して収録している特別寄稿▽発達支援を通じて人生や社会をよりよく生きる▽生活の質の向上と正常な社会機能の形成をめざす教育▽高校生料理人たちの自己実現への道▽「言葉の力」は「生きる力」―の4論考も読み応えがある。
(2592円 金子書房)
(規)

書評

連載