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知財創造教育【第4回】経緯と推進体制

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 政府は知的財産基本法第23条の規定に基づき、知的財産の創造、保護及び活用に関する推進計画を毎年策定しています。「知的財産推進計画2016」の決定にあたり2016年5月に開催された知的財産戦略本部(注1)の会合において、安倍総理大臣から「国民一人一人が、創造性豊かに知的財産を創り出し、使いこなせることを目指します。そのため、子供たちが知的財産について興味関心と正しい知識を持てるよう、産学官のコンソーシアムを立ち上げ、小学校段階から知財教育に取り組みます。」との発言があったことなどを受け、政府は2017年1月に知的財産戦略担当大臣ら産学官の代表者を共同会長とする「知財創造教育推進コンソーシアム」を設置し、知財創造教育を推進するための体制を整えました。
(文=仁科雅弘・内閣府知的財産戦略推進事務局参事官)

 小中学生の段階から、創造することを楽しむ機会や知的財産制度への理解を深める機会を通じて知的財産意識の育成を図ることは、2003年の知的財産戦略本部の設立以来の課題でした(注2)(注3)。また、2006年1月に策定された「知的財産人材育成総合戦略」(注4)においても、政府がとるべき方策として、初等中等教育向けの教材の作成・提供などが定められていました。このような経緯もあり、特許庁や文化庁、発明協会、日本弁理士会、企業といった知財に関する専門的な知見を有する方々により、教材や教育プログラム、教員用の指導書が作成され提供されてきました。
 しかしながら、これらの教材等は所在が分散し、その多くは学習指導要領に規定された指導内容との対応が明らかにされていなかったため、学習指導要領に準拠して授業を行わなければならない学校教育の現場に導入しようとした際に、教員自身が学習指導要領との関係について調べて学校長等に説明しなければならない場合があったなど、必ずしも使い勝手のよいものではありませんでした。
 また、内容的にも、創造性を育むことよりも知財の決まりを教えることに重点をおいた教材が多く、模倣やコピーの禁止といったメッセージが先行するものも見られました。
 
 そこで、知財の専門家と学校の教員とが、共通の言語で知財創造教育について理解できるようにすべく、知財創造教育の必要性とその内容を明らかにするとともに、知財創造教育の内容と学習指導要領に規定された指導内容との関係を整理することとし、これを「体系化」 と称することとしました。そして、知財創造教育推進コンソーシアム内に設置した検討体において、この体系化から議論を進めることとしました。

 次回は、知財創造教育の体系化の成果について説明します。

(注1)知的財産基本法第24条の規定に基づき内閣に設置され、内閣総理大臣を本部長とし、全ての閣僚と総理が任命した有識者からなる組織

(注2)知的財産戦略会議、「知的財産戦略大綱」、2002年7月3日、p.41
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki/kettei/020703taikou.html

(注3)知的財産戦略本部、「知的財産の創造、保護及び活用に関する推進計画」、2003年7月8日、p.91―92
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kettei/030708f.html

(注4)知的創造サイクル専門調査会、「知的財産人材育成総合戦略」、2006年1月30日、p.52
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/cycle/senryaku.pdf

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