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知財創造教育【第6回】教材等の収集・提供

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 知財創造教育の体系化を通じて、知財創造教育の内容と学習指導要領の指導内容との対応関係が取れるようになったことにより、これまでに蓄積されてきた知財創造教育に活用可能な教材等を、学習指導要領の指導内容と紐づけることが可能となりました。これを受け、知財創造教育推進コンソーシアムに参画している団体を中心に、各団体が保有する教材等を学習指導要領の指導内容と紐づけて提供するように呼びかけたところ、インターネット上で提供される教材を含む130を超える教材等が集まりました。
(文=仁科雅弘・内閣府知的財産戦略推進事務局参事官)

 これらを検索可能な一覧表にまとめて、インターネット上で公開しました(注1)。教材等の中には教員向けの指導書が存在するものもあり、学校教育の現場ですぐに活用可能となっています。

 この一覧表の存在により、これまで学校教育現場の教員にリーチできずに埋もれていた教材等が活用されるようになることが期待されます。また、知財の専門家の立場でも、これまで作成してきた教材が学習指導要領の指導内容と整合しているかを確認できるようになるとともに、今後作成する教材等についても、学習指導要領とより整合したものになることが期待されます。もちろん、これらの教材等については、全国にある少年少女発明クラブ(注2)のような学校外で行われる創造性を育む活動においても活用いただけます。
 さらに、全国各地で企業等が提供する施設等への見学プログラムや高等専門学校が提供する出前授業といった、校外活動や総合学習の時間等で活用できるプログラム等の一覧表も併せて提供しています。
 一覧表に掲載された教材等の中から、ほんの少しだけ以下にご紹介します。一覧表本体も是非ご覧ください。

(1)知財学習のためのサンプル教材(経済産業省特許庁)(注3)
 小学校の国語・社会・理科、中学校の技術といった各教科の学習指導要領に存在する知財に関する指導事項を示したうえで、授業の際に知財のポイントを簡単に取り入れることができるような教材です。例えば、小学校2年生の国語では「あったらいいな、こんなもの~アイデアを形にしよう~」、3・4年生の社会では「災害を調査しよう~設備に含まれる発明を探る~」といった教材が用意されています。

(2)5分でできる著作権教育(公益社団法人著作権情報センター)(注4)
 小・中・高等学校の各教科において著作権に関する興味・関心を高める学習活動を行う際に用いることができる教材が、「学習のねらいと指導のポイント」、「板書計画」等とともに用意されています。教材は、著作物を利用する場面ごとに用意され、例えば、小学校向けには「友だちの撮った写真をホームページ使う」場面や「アニメのキャラクターを利用する」場面、中学校向けには「インターネットを通じて情報を発信する」場面が掲載されています。

(3)知財教育用ボードゲーム「CUBIS」(CUBIS Project)(注5)
 一覧表に掲載された教材等の中では異質ですが、事業活動の中で、どのように知的財産権が使われるかを、すごろくゲームを通して楽しみながら学ぶことができる教材です。プレイヤーはゲームの世界の中で経営者として行動し、コマを進めるごとに、知財の必要性、重要性を、「自分ごと」として体感できるように工夫されています。

 次回は、地域版の知財創造教育推進コンソーシアムについて説明します。

(注1)知的財産戦略本部、「『知財創造教育』に関する教育プログラム」ウェブサイト
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tizaikyouiku/program.html

(注2)公益社団法人発明協会「少年少女発明クラブ」
http://kids.jiii.or.jp/modules/pico/index.php?content_id=300

(注3)経済産業省 特許庁、「知財学習のためのサンプル教材」

(注4)公益社団法人 著作権情報センター、「5分でできる著作権教育」
http://chosakuken.jp/

(注5)CUBIS Project、「CUBISについて」

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