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細分化する要望に合わせた流通の工夫

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注文があった製品を必要な数だけ保管場所からピッキングする

 2月は新学期に向けた準備が始まる時期だ。志望校の受験に始まり、入学前説明会への参加など、この時期の新入学生や保護者は、いろいろな書類に目を通しながら、新しく始まる学校生活に胸を躍らせ、期待を膨らませる。制服選びもこうした新生活の準備を彩る大切な一コマだ。入学式までに確実にその人に合った品物を届けるという使命を持つ学生服づくりの横顔を紹介する。

期日に届ける使命を果たす

 学生服が一般のアパレル用品と大きく異なるのは、その納品形態だ。
 学生服は進学先の決まる2~3月にかけて採寸・発注される。独自の制服を採用している学校が多く、生徒によってブレザーやスラックス、スカート、シャツ、ネクタイ、リボンなど必要なアイテムは異なる。加えて、サイズが違ったり、ボタンやエンブレムといった付属品にもオリジナルをあつらえる学校も増えているため、受注する製品は数万パターンに及ぶ。
 また最近では、性別に関係なく自由に制服を選べるようにするという観点から、女子用にスラックスを導入する学校も増えてきており、細分化はさらに進む傾向にある。
 こうした個別的かつ大量の要望に応え、入学式までに確実に制服を届けるためには、流通の面での工夫が欠かせない。
 例えば、明石スクールユニフォームカンパニーでは、制服の完成後、物流部門であるアソートセンターに製品が届けられる。効率良く保管することはもちろん、注文に対して迅速・正確に対応するために重視するのが入庫の仕方(在庫配置)だという。
 数万種類に及ぶ学校オリジナル制服それぞれに最適な保管場所をあらかじめ決めておき、コンピュータ上でアドレス登録・管理を行っている。
また注文があった製品を必要な数だけ保管場所から集めるピッキング作業を行う際には、できるだけ移動距離を短くすることが重要なため、動線が最短になるように計算して入庫することで、入出庫時の作業効率を向上するよう工夫している。
 新入生一人ひとりすべて異なる内容で行うアソート作業は、冬物の学校制服だけでも合計10万セット以上になるという。入学式までの限られた期間にこれを間違いなくこなせるのは、制服メーカーならではの長年にわたる担当者の経験の蓄積と、システム化や最適化を図るメーカーの不断の努力のなせる業だ。
 4月、新しい制服に袖を通すとき、制服を届けてくれた人たちの努力に思いを馳せてみると、少しだけ制服が重たく感じるかもしれない。
(協力=明石スクールユニフォームカンパニー)


一人ひとりすべて異なる内容で行うアソート作業

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