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市内全小・中学校に冷水機を導入

11面記事

企画特集

冷水機から水を汲む児童たち

導入事例
子供を熱中症から守り、水道水のおいしさを伝えたい
大阪府寝屋川市上下水道局・教育委員会

水離れと熱中症対策を目的に
 寝屋川市上下水道局では北川市長の重点施策である「子どもを守る」取り組みとして、教育委員会と協力して学校での熱中症対策のため、また、「安全でおいしい水道水を蛇口から直接飲料できる」という、日本が誇る文化を次世代に継承してくため、市立の全小・中学校の手洗い場の給水方式を既存の受水槽式から直結式給水に改良するとともに、直結式給水の冷水機を設置する「おいしい水のみ場事業」を教育委員会と連携しながら進めている。
 学校施設は児童・生徒が1日の大半を過ごす学習・生活の場であり、休日や夜間には、地域住民のスポーツ活動の場としても利用されている。また、保護者や子どもたちからも冷水機を設置してもらいたいとの声もあった。教育委員会では、冷水機を設置することで、こまめな水分補給がしやすくなり、子どもや利用者への熱中症予防に効果があるものと期待している。
 この事業について、九條勝広次長兼水道事業課長にお聞きしました。「ミネラルウォーターなどの普及によって子どもたちが水道水を飲む機会が減る“水離れ”が進む中で、学校でも衛生面への配慮から蛇口から直接飲水しないよう指導してきた経緯がありました。そこで、こうした心配を解消するおいしい水道水を供給するとともに、夏場の熱中症対策として冷たい水を提供できる冷水機を設置することにしました」と語る。
 各校に設置される冷水機は、「オアシス・ウォータークーラー」(株式会社OSGコーポレーション)の標準型と低床型の2台。これまで導入していた小学校では下に台を敷くなどして高さを調整しているところがあり、低学年の児童でも飲みやすく、車椅子などの利用にも配慮した低床型も導入したという。

学校の使用に適した機能を評価
 上下水道局が同社の冷水機を採用した理由は、学校現場での使用に適した改良が随所になされていることである。「たとえば、自動洗浄システムによりいつでも衛生的な状態に保てること。さらに、従来使っていた冷水機は大勢の子どもたちが連続して使用すると水がぬるくなることがありましたが、連続冷却構造によって一時間で冷却できる水の量が50lもあるため、最後まで冷たい水が提供できます」と評価する。
 また、手洗い場もブルーのタイル地のデザインに改修することで、子どもたちに一目で水道水が変わったことが分かるように工夫。平成30年度に小学校11校に設置したところ大変好評だったため、今年度に残りの小・中学校(25校)にも整備する意向だ。


ブルーのタイル地に改修した手洗い場と冷水機

見学会でも「冷たくておいしい!」
 昨年整備した点野小学校では、児童や地域の方々も参加した完成見学会を実施。実際に美味しい水道水になったことを蛇口や冷水機から試飲してもらい、児童からは「冷たくておいしい!」との声が聞かれたと振り返る。また、その後に学校で実施したアンケートでも「手洗い場の水道からも安心して飲用できるようになった」、「冷水機も以前の足踏み式と違い、手元のダイヤルから操作できるため飲みやすくなった」といった声が聞かれるなど好評だったという。
 その上で、「昨年は設置時期が夏休みに入ってしまったため、今年度は夏季の熱中症対策として使ってもらえるよう、6月末までには設置を完了したいですね。特に冷水機は飲むときの清涼感が違いますので、こまめな水分補給の習慣化にも役立つと期待しています」と抱負を語った。

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