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学びに向かう力 学習活動を支える情意的基盤を

16面記事

書評

教育フォーラム64
梶田 叡一 責任編集
日本人間教育学会 編
各教科・領域での育成方策を提言

 新しい学習指導要領では、目指すべき基本的教育成果の一つとして「学びに向かう力」が掲げられている。これは、「学力の3要素」の第3に当たるものであり、第1要素の「知識・技能の習得」、第2要素の「思考力・判断力・表現力の育成」を基盤として支えるものである。また、今年3月に発表された小・中・高校の新しい指導要録の様式では、観点別学習状況の評価欄の第3観点として挙げられた「主体的に学びに取り組む態度」に相当するものと捉えてよかろう。
 この「学びに向かう力」が十分に育成されていてこそ、当面の課題についての「主体的・対話的で深い学び」も、生涯にわたって持続されていくべき学習も、その土台が形成されることになる。
 本書は、こうした「学びに向かう力」について、まず梶田氏が巻頭論文で、その在り方として、

 (1)生涯を通した<学びに向かう力>の涵養を
 (2)実感・本音に基づき、納得を追求する
 (3)時々刻々の学習意欲を支える目標意識・目標感覚を
 (4)与えられた運命を引き受け、そこでの頑張りを通じた自己実現を図る

 ―の4点を提起。これを受けて、各分野の研究実践者が、各教科・領域の教育活動を通じて、さらには毎日の学校生活を通じて、「学びに向かう力」をどのように実現していけばいいか、その実践的な取り組み方を具体的に提言しており、教育現場に大いに参考になる。
(2592円 金子書房)
(矩)

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