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災害時に増える脱水症への対策

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 災害発生時の避難中、避難後に死亡した人の中で当該災害に因果関係が認められる死因を災害関連死と呼ぶが、熊本地震では建物の倒壊等で亡くなった災害直接死が50名であったのに対し、災害関連死は189名に上っている。その中では脱水症により症状が重篤化する疾患や感染症が原因となるものが約8割を占めており、災害時には脱水症への対策が重要なことが浮き彫りになった。
 車中泊が多かった熊本地震では、マスコミを通じてエコノミークラス症候群の危険性が知れ渡るようになった。だが、その裏で救急外来の診断で増えていたのが脱水症だったという。その要因として挙げられるのが、水分摂取不足だ。災害発生時は断水によって生活用水が使えなくなったり、ストレスによって水分補給まで気が回らなくなったりする人も多い。また、避難所生活ではトイレに行きたくない人も多く、どうしても水分を摂ること控える傾向にあることや、備蓄飲料はほとんど真水で塩分が含まれていないなど、脱水状態に陥りやすい環境にあるからだ。
 しかも、脱水症によって体調を崩すことで、密集する避難所でのインフルエンザやノロウイルスなどの感染リスクも高まり、感染拡大を引き起こす要因にもなりかねない。すなわち、避難所生活や車中泊では適度な運動をすることに加え、水分摂取によって脱水症を防ぐことが大事になる。

「防災衛生パーソナルキット」を発売
 そこで、こうした避難所等における脱水症、感染症対策となる基礎的なツールをワンパッケージ化した「防災衛生パーソナルキット」(5年備蓄)が発売されている。本製品は、災害対策に活用できる製品やノウハウを有する株式会社大塚製薬工場など複数の協力企業で構成される「防災衛生会議」(主催=一般社団法人地域防災支援協会)が企画したもの。
 このキットでマニュアルやマスク、歯ブラシとともに同梱されているのが、パウダータイプの経口補水液(株式会社大塚製薬工場「オーエスワン」)だ。学童から成人、高齢者の1日当たり摂取目安量である1リットル分を用意しており、水分摂取不足や下痢おう吐による脱水状態への初動対応に活用できる。なお、価格は50個(50人・日相当)で3万5千円(税別)。
 問い合わせ=船山株式会社 電話03・3532・3601まで。

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