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事典 持続可能な社会と教育

12面記事

書評

日本環境教育学会・日本国際理解教育学会など 編
多彩な執筆陣が現代的課題を解説

 一般的に事典といえば、箱付き・ハードカバーでいかめしい印象がある。本書も分類すれば事典なのだが、全く様相を異にする。そして、それは体裁にとどまらない。
 何といっても、内容が革新的だ。特長を列挙してみよう。
 まず、書名。本書は、「持続可能な社会と教育」についての事典なのである。見方によっては狭い領域と思われるだろうが、私たちに突き付けられているさまざまな課題、例えば、気候変動と地球温暖化、生物多様性と生態系等、不透明な問題は多い。本書はこれら現代の課題に対するヒントであり、解答にもなる。
 次に執筆陣の豊富さである。取り上げられたテーマは141項目であるが、なんと125人もの執筆者が名を連ねる。ほとんどが一人1テーマを担当しているといえる。本書は4学会2団体の共同編著である。所属学会等の専門家の満を持しての執筆である。しかも1テーマ1~2ページにまとめられ「信頼度の高い情報が凝縮されて」いるといえよう。ちなみに、「気候変動とエネルギー」という項で取り上げられたテーマは、地球温暖化、自然災害、異常気象、再生可能エネルギー、原子力発電等、見ただけでも興味深い。
 新学習指導要領の実施も目前に迫っている。「持続可能な社会の構築」を考える上で、格好の良書が出たことを素直に喜びたい。
(3080円 教育出版)
(八木 雅之・元公立小学校校長)

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