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制服づくりで学校を支える

9面記事

企画特集

熟練の職人に支えられている制服づくり

 学生服は学校生活を彩る大切なアイテムだ。デザインや素材、縫製から伝わる品格や快適性、耐久性、手入れのしやすさなど、学生服に求められる要素を1着に凝縮させるプロセスは驚くべきもので、制服メーカーによる不断の努力が欠かせない。「制服づくりを通して学校を支えたい」という想いを持つ制服メーカーの努力の一端を探る。

時代の変化に柔軟に対応
学生服関連企業の取り組みを知る

伝統と革新を両立して
 日本独自の文化とも言える学生服は、「素材(開発)」、「加工(染色等)」、「縫製」と、制服づくりの工程が熟練の職人に支えられているのが特徴だ。
例えば、素材は日々進化している。アクティブな生徒の動きに耐えるストレッチ性、軽くて丈夫なもの、まる洗いに対応できる手入れのしやすさ、撥水性の高さ、しわ防止加工など機能面での要求水準は年々高まりつつある。
 昨春、女子生徒による学生服のスラックス採用が、自分らしさを表現する時代を反映していると話題になったが、女子生徒に適したスラックスを提供するメーカーの存在を忘れてはいけない。
 古き良き伝統を守りつつ、新しい時代に対応した要請に応えていくには、生徒や保護者のニーズを的確に把握することはもちろん、それを実現化する技術が伴わなくてはならず、伝統と革新の両立が求められている。

短納期に応える仕組み
 発注から納品までの期間が短いことも特徴のひとつだ。
進学先の決まる2~3月にかけて採寸・発注され、4月の入学式に間に合うように生徒の元に届けられるが、「個々のサイズに合ったものを確実に期日に間に合わせる」という、当たり前に思えることの裏側にも、メーカーの努力が隠れている。
 例えば、生地を裁断する際は生地を伸ばす自動延反機やパターン通りに生地をカットする自動裁断機などの専用機器を使用し素早く行われる。縫製の工程を専門スタッフによる分業で行い、ボタンやファスナー、ラベルなどの付属品を取り付けた後は、仕様やオーダーと相違がないか、人の手と目視、検針機によって徹底的にチェックする。
 また、完成した制服の管理や発送作業の効率化にも独特の工夫がある。
 同じ学校でもブレザーやスラックス、スカート、シャツ、ネクタイ、リボンなど必要なアイテムは生徒ごとに異なる。
このため、数万種類に及ぶ製品を数万カ所に及ぶ届け先ごとに確実に届けるために入庫段階から配置を工夫し、発送前にアイテムを集める「ピッキング」の動線を計算するなどして、数十万セットが入学式前に確実に届くようにしている。

愛される制服のために
 既存の制服からモデルチェンジを行う場合は、コンセプト立案からデザインや素材選び、サンプル提案について、制服メーカーが学校を総合的にサポートしている。
 モデルチェンジといっても、新しい風を吹き込むための大幅な変更や、伝統を生かしつつ部分改良だけ行うなど、さまざまなパターンがある。
 目指す学校像や生徒像を制服に取り入れ、伝統や格式を重んじながら長く愛されるデザインをつくるには、制服メーカーの専門性が欠かせない。
 制服のデザインと素材が固まれば、それを学校の広報活動に生かしてもらうまで昇華させる。学校ホームページやオープンキャンパスで新しい制服やそこに込めた想いを紹介することで、学校の魅力アップにつなげていく。
 制服は生徒にとって学校生活の一部。制服メーカーの長年の経験と知恵は、着てうれしい・誇りを持てる一着のために、そして地域に根差した学校づくりのために生かされている。
(制作協力=明石スクールユニフォームカンパニー)


独自の物流システムで確実に学校に納品する

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