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増加する特別支援学級の児童生徒と指導者に求められる支援とは

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特集 教員の知恵袋

 近年、小学校や中学校に設置された特別支援学級に入る児童数は増加傾向です。しかし、学校が障害を持つ子どもたちを受け入れるためには、適切な指導と環境、体制を整えなければなりません。通常学級と特別支援学級で指導方法がどのように異なり、またどのような支援が求められているのでしょうか。

障害を持つ子どもを対象とした少人数クラス

 特別支援学級の対象児童は障害のある子どもたちです。なかでも知的障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱、弱視、難聴、言語障害、自閉症・情緒障害が対象とされます。
 公立の学校では、8人を標準にして学年や年度によってクラスを行うのが一般的です。児童数が多くなる場合は、知的障害や自閉症の児童と肢体不自由の児童を分けるといった障害の種別によってクラス分けが行われます。また、通常学級に入学した児童が発達度合い、本人や保護者の希望、または事故による肢体不自由などを理由に年度途中や進級のタイミングで特別支援学級に移るということも可能です。

増加し続ける特別支援学級の児童数

 少子化の影響もあり、全国における義務教育段階の全児童生徒数は989万人と減少傾向です。しかし、特別支援学級の児童生徒数は約23万6千人と、平成19年と比べると2.1倍の増加傾向。今後も増え続けると予想されています。(※平成29年5月1日のデータ参照)

 特別支援学級の対象となる児童数が増加傾向にある理由として考えられるのが平成19年の特別支援教育制度の改正です。それまで、特別な場で教育を行う特殊教育としていたものが、改正を機に発達障害を対象に含めた特別支援教育に変化しました。

 発達障害を持つ子どもが、より充実した支援を受けられることや児童生徒一人ひとりに合わせた指導計画によるきめ細かな対応を受けられることから、特別支援学級を選択する保護者が増えています。

切れ目のない支援や通常学級との交流

 特別支援学級では、基本的に児童生徒一人ひとりに合わせた指導目標が掲げられています。また、特別支援学級と通常学級の児童の交流によって期待されているのが、子どもの人間性や社会性の向上です。
 特別支援学級の指導内容は通常学級とどのように異なり、またどのような特徴を持つのでしょうか。

・一人ひとりの教育ニーズに沿った指導

 特別支援学級の指導は、小学校・中学校の学習指導要領に沿って指導内容を編成するのが原則です。それを踏まえた上で、特別支援学校の学習指導要領を参考にした教育課程を編成し、児童生徒の障害の程度や特性に応じた指導を行うことも認められています。

 また、障害のある児童生徒一人ひとりが持つ教育的ニーズを正しく把握し、個別の教育支援計画と指導計画を作成することも重要な点です。個別の指導計画書は、指導の内容や目標を盛り込みながら、学期や学年に合わせ作成します。一方、個別の教育支援計画は、学校外の専門機関や家族と話し合いながら、卒業後までを見越して長期的に立てられる計画です。

・関係機関と連携した継続的な支援

 文部科学省が提示する「文部科学省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」には、特別支援を要する子どもに対して、就学から進学・就労と、社会参加まで継続的な支援を行うことが重要であると記されています。

 その継続的な支援を行うために必要となるのが、教育委員会や学校が福祉局と連携したり、個別の教育支援計画を作成したりすることです。

 先述した個別の教育支援計画は、児童生徒の進級や進学の際だけでなく、医療・福祉・教育などの関係機関と連携を図る際にも一貫して引き継がれます。学校のサポートはもちろん、家族や関係機関を含めた組織的な支援を途切れることなく行うことが重要です。

・インクルーシブ教育を見据えた通常学級と交流

 特別支援学級と通常学級の児童生徒の交流を橋渡しするのも教員の大切な仕事です。障害の種類や程度によっては、通常学級の生徒と一緒に体育や図工、音楽などの授業を受けたり、給食や朝の会、帰りの会の時間を通常学級で過ごしたりすることもあります。

 通常学級と特別支援学級の児童生徒同士の交流における目的は、子どもたちの人間性や社会性の向上です。この目的には、近年日本でも浸透してきたインクルーシブ教育の考えがあります。

 障害のある子どもと障害のない子どもの両者がともに学び、経験を共有することで、お互いを尊重し多様性を受け入れることの大切さや豊かな人間性の育成につなげようという考えです。そのために、障害の有無にかかわらず、子どもたちが同じ空間で学べるよう環境の整備が進められています。

障害を持つ子どもたちに応じた切れ目のない支援を

 平成19年の特別支援教育制度の改正以来、特別支援学級の対象となる子どもの数は増え続けています。少人数でクラスが構成されることや障害を持つ子どもを対象としていることから、個別の教育ニーズや発達度合いに合わせたより細かい指導方法が必要になってきました。
特別の支援を要する子どものサポートを学校内で完結させず、家族や関係機関と連携を図り、より多くの人を巻き込んだ切れ目のない支援が求められます。

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