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デジタル教科書 紙と併用で学習効果 小学校実践をヒアリング

2面記事

文部科学省

文科省検討会議

 児童・生徒が使用するデジタル教科書の効果的な活用法や教科書制度の在り方について話し合う文科省の検討会議は7月28日、第2回の会合を開き、国公立小学校での授業実践についてヒアリングを行った。各校の校長や教諭が国語や算数、社会科での活用例を発表し、デジタル教科書だけでなく紙の教科書と併用することで学習効果が高まるとの考えを示した。
 東京都荒川区立第一日暮里小学校ではタブレットPCを3年生以上に1人1台、1、2年生には2人に1台整備し、電子黒板や教師用タブレットPCと一体的に使用している。
 同校の白井一之校長はデジタル教科書の利点として、算数の目盛りや社会科の図を拡大できる他、直接書き込めるためワークシートを何枚も作らなくてよいことを挙げた。
 ただ、電子黒板では一つの考えしか全体に提示できないと指摘。白井校長は「デジタル教科書と紙の教科書のどちらが良いかではなく、学習ツールが増えたと考えることが必要ではないか」と話した。
 筑波大学附属小学校の青山由紀教諭は国語の実践を紹介した。同校では共有のタブレットPCを整備し、授業中は児童が1人1台の端末を使う。
 3年生の説明文の単元でデジタル教材の本文抜き出し機能を活用し、段落や文章、写真資料の比較を促す授業を行った。
 その上で、青山教諭は「紙の教科書を使うときには、子どもたちにいかに主体的に学ばせるか、デジタル教科書では『分かったつもり』をどう防ぐかと、注力する場面が違う」とし、「二者択一の議論からの脱却」を求めた。
 会合の意見交換では、各委員から「現在のデジタル教科書はGIGAスクール構想前の考え方であり、長期的には定義を変えた方がよいのではないか」「デジタル教科書では保護者が子どもの学習状況やつまずきをつかみにくい」などの意見が出た。
 同検討会議は来年6月ごろの議論の最終まとめに向け、今後も毎月1回程度開催する。次回は8月25日を予定している。

文部科学省

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