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避難所の感染症対策 コロナ禍での3密を避ける備えを

15面記事

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 新型コロナウイルス感染症の流行長期化に伴い、災害時に避難所を開設する学校施設では、いざという事態に備えて感染症対策に万全を期すことが重要になっている。ここでは、そのポイントについて紹介する。

体調チェックとゾーン分けを徹底
 熊本地震ではノロウイルスやインフルエンザの患者が相次いで発生するなど、多くの人が集まる避難所には衛生管理や感染症対策が不可欠だ。こうした中、文部科学省は6月末に教育委員会・学校に対して通知した「新型コロナウイルス感染症対策に配慮した避難所運営のポイント」で、コロナ禍に学校が避難所を開設した場合を想定した備えるべき施設設備の整備、感染症に対応するためのマスク、消毒液等の衛生用品やパーティション等の備蓄スペースの確保、教室の活用等について、防災担当部局と連携して対応することを求めている。
 では、どのような対策が必要になるのか。まず、避難所を開設する場合には、受付時に発熱やせき、だるさなどの症状があるかどうかの体調チェックを行い、感染源をもちこまないようにすることが必要になる。そのため、窓口には非接触型体温計やサーモグラフィーを設置するほか、担当者にはゴーグルやフェイスシールドなどを含めた個人用防護具を備えることを挙げている。
 また、感染の疑いがある人が発見された場合を見越して、教室などに専用の居場所を確保しておくことが大事になる。その際は、発熱やせきなどの症状がある人や濃厚接触者、感染症リスクの高い高齢者、障がい者とゾーンを分けるとともに、トイレもそれぞれ専用にすることが望ましいとしている。

換気や間仕切りで飛沫感染を防ぐ
 避難所の運営では、密閉・密集・密接の「3密」を避けることが大切だ。したがって、30分に1回は窓を全開放する、大型扇風機を使うなどして、できるだけ換気を心がけること。家族間の距離は1m以上あけるほか、他人との距離が確保できない場合は、段ボールやパーティションなどで間仕切りし、せきやくしゃみなどによる飛沫感染を防止することが大事になる。あるいは、床に落ちた飛沫は残りやすいため、段ボールベッド(簡易ベッド)なども有効だという。加えて、建物に出入りする際や食事の前、トイレ後には必ず手洗いやアルコール消毒をするとともに、ドアノブや電気のスイッチ、手すりなど人が手に触れやすい共有部分はこまめに消毒する必要がある。
 感染症を防ぐための避難所のレイアウトは、事前に保健所などの確認を受け、できるだけ密にならない配置に設計しておく必要がある。たとえば通路は一方通行にし、通行者がすれ違わないようにする。食事を提供する際は、行列を避けるために順番制にする。向かい合わせの椅子の配置を避けるといった工夫が求められる。
 さらに、共同生活である避難所では、生活ルールを決めることが重要になる。毎日の体温・体調確認はもちろんのこと、トイレはふたを閉めて水を流す。ゴミは各家庭で密閉して廃棄。靴はビニール袋に入れて各自で保管するなどのルールの周知徹底に努めることが重要だ。

地域住民には「分散避難」を周知
 一方、地域住民に対しては、これまでのように災害時に多くの人が避難所につめかけると、新型コロナウイルスの感染が広がるリスクがあることを周知し、安全が確保できる場合は親戚・知人宅、在宅避難、ホテル、車中泊など「分散避難」を心がけてもらうことも大切になる。また、避難する際は、マスク、消毒液、体温計を持参することも合わせて周知しておきたい。

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