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経済教育実践論序説

16面記事

書評

大阪教育大学経済教育研究会 編
小・中・高などの取り組み一冊に

 本書は各校種で実施されている授業や、韓国との教育比較を試みるなど、「経済教育」をテーマにまとめ上げた視点が、ユニークな一冊といえよう。
 第1章「小中学校を見通した経済教育のカリキュラム・マネジメント」で「経済教育」につながる学びをどう創るかを、小学校の総合的な学習の時間で実践してきた「あきんど体験学習・100円商店街」(第2章)で「経済体験学習のツボ」を、それぞれ提案した。
 社会科公民的分野で市場経済など、本格的な「経済教育」に遭遇する中学校には多くの章を割く。「中学校経済教育」に求められているものに言及した上で、生徒対象の「経済教育テスト」結果の課題から、社会科の授業改善の手だてを示す。さらに、「深い学び」につながる授業実践例、「金利」を取り上げ金融教育を考察する(第3章~7章)。
 高校段階では新科目「公共」(第8章)にアプローチした。この他、租税教育(第9章)の今後を語り、大学の授業(第10章)、日韓の小・中・高校の「経済教育」比較(第11章)を収めた。
 学習指導要領に盛り込まれている「経済教育」の内容を各校種間でどう系統立てていくか、大学でも経済分野で何を教えるのか模索がある中で、専門的に経済を学んでこない各校種の教員がどの程度、授業を深めていけるか。「序論」後の展開を期待したい。
(2420円 大学教育出版)
(矢)

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