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教員が指導しやすく、子どもも使いやすい理科実験に「カセットこんろ」を活用

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東京都・江東区立枝川小学校

4~6年生の加熱実験は、すべて「カセットこんろ」に
 理科の新学習指導要領では実感を伴った理解を育むため、「観察・実験」が重視されている。こうした中、小学校では子どもたちの火を使った理科実験の安全への配慮から、アルコールランプに代わって「カセットこんろ」(理科実験用ガスコンロ)を使用するケースが増えている。江東区立枝川小学校も、そんな一校だ。
 「本校では2つある理科室に18台を常備し、1年間を通じて4~6年生の火を使うグループ実験に活用しています。安全性が高いため、どの先生でも指導しやすく、火の扱いに慣れていない子どもでも簡単に操作できるのが長所。今ではアルコールランプやガスバーナーはほとんど使わなくなりましたね」と話すのは、鈴木和洋教諭だ。
 現在20名以上が在籍する「科学クラブ」でも重宝しており、「最近ではザラメをつくる実験に活用しました」と続けた。

アルコールランプよりも安全性に優れる
 アルコールランプの容器は子どもがちょっと触れただけで倒れてしまうため、手や衣服にかかったアルコールに引火し、やけどをするなどの事故につながるケースが多々あった。その点、「理科実験用ガスコンロ」は倒れにくい形状であるのはもちろん、実験に使いやすいように四脚の網台が付いているのが特長。しかも、ボンベが熱くなって安全装置が働いた場合は自動で火が消える、正しくセットしないとつまみが回せないなどの安全装置を備えていることから、近年では教科書でも新しい加熱器具として推奨されている。
 とはいえ、炎を使う以上は子どもへの事前の安全教育は必要。「理科では4年生から火を使う実験が始まりますが、その際はつまみを回しても火が点かないときはすぐ戻す、実験中はボンベが熱くなっているので触らないなどの指導を行っています」と語る。

実験時間を短縮し、失敗もなくなる
 また、アルコールランプはアルコールの追加や芯の点検といった手間もかかるが、「理科実験用ガスコンロ」はそうした準備が要らない。もう1つ、使い勝手のよさとして挙げるのが、高火力で実験時間を短縮できることだ。「たとえば5年生の単元『ものの溶け方』で塩の結晶をつくったり、6年生の単元『ものが燃えるとき』で水溶液を沸騰させたりするときなど、それぞれのグループで加熱時間が違ってしまうと、そのあとの比較や考えを深める活動に十分な時間をとれなくなるからです」
 さらに、実験で難しいのは火力の調節だが、目盛りで調整できることで実験結果にバラつきが少なくなり、失敗がなくなることも「理科実験用ガスコンロ」を活用する大きな魅力と指摘した。

実感して得られる本物の知識を
 こうした理科ならではの実験で得られる学びについて鈴木教諭は、「今は映像で簡単に実験の様子を見せることもできますが、やはり自らの手を使って実感して得る知識とは大きな開きがあり、そのぶん理解も早くなる」と話す。今年は新型コロナによる授業数の削減で、理科実験を思うようにできない学校もあると聞くが、「今後も授業でなるべく多く実験を取り入れていきたい」と意欲的だ。
 なお、一般社団法人日本ガス石油機器工業会では、「カセットこんろ」の安全で正しい使い方を学べるDVD教材を作成し、全国の学校に無料配布している。ぜひ、取り寄せるなどして参考にしてほしい。

 問い合わせ=03・3252・6101
 https://www.jgka.or.jp/

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