日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

家庭、学校、職場で生かせる!自分と相手の非認知能力を伸ばすコツ

14面記事

書評

中山 芳一 著
三つの力に整理し具体的に解説

 理解したり判断したりする力などは認知能力。それに対し、意欲や忍耐力、自制心、協調性などが非認知能力。これは、数値によって測定できない力である。この非認知能力が以降の学び、さらに生き方を左右する。AI時代にあって、人が人として存在し、この力を発揮していくことが未来に豊かな展望を開くのではないか。
 著者は「実践ありきの研究」がモットー。非認知能力やメタ認知能力向上に尽力。本書は話題の「学力テストで測れない非認知能力が子どもを伸ばす」に続いての発刊。
 本書では伸ばしたい非認知能力を「自分と向き合う力」「自分を高める力」「他者とつながる力」の三つのフレーズで示して解説。どれもこれからを生き抜く上で求められる力である。学習指導要領改訂で注目された「学びに向かう力・人間性」そのものである。本書は、前述の関連し合う三つの力を育むには、どうすればよいのか具体的に解説されている。そこにはギミック、仕掛けが大切と説く。その仕掛けとは…。ここで紹介するのは無粋というもの。ぜひ本書を手にしていただきたい。
 大事なことは、非認知能力は付けるものではなく自分で伸ばすものであること。子どもたちに育むには、支援する私たち大人がリスペクトされる存在として、価値の軸がぶれないようにすること。重みを感じる言葉である。繰り返し熟読したい一冊。
(1870円 東京書籍)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)

書評

連載