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日本の数学授業、高評価 詳細な説明・問い掛けが良質

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OECD分析

 経済協力開発機構(OECD)は、加盟国の学校の授業の様子を撮影し、分析するという新たな調査を実施した。指導実践や学習状況について客観的なデータを得られることが特徴。日本、チリ、コロンビア、イギリス、ドイツ、スペイン、メキシコ、中国を調査した。日本の中学校の授業では、数学に関する教員の説明が詳細で深く、問い掛けの質が高いことが分かった。
 日本の55%の授業で、「なぜそのように考えるか」や「どのような手順になるか」ということを詳細に説明した。中国(56%)に次いで2番目に高かった。
 また、64%の授業で、規則性や手順、公式の適用を求める問題や、分析の問題を重視する傾向があった。こちらもドイツ(70%)に次いで2番目に高かった。
 今回の調査は平成30年6~11月にかけて行った。日本の中学3年生に当たる学年の数学(二次方程式)の授業を録画。1人の教員につき2回撮影し、2人の分析官が独立して授業の質を分析した。授業前後に質問紙調査や数学のテストも実施した。
 日本は静岡市、埼玉県熊谷市、同県戸田市の全公立中学校と、関東と静岡県の国立大学附属中学校の計73校が調査対象になった。
 録画した映像から、授業の進行や活動の様子を見る「授業運営」、教師と生徒の相互の敬意や励ましを見る「社会的・情緒的支援」、授業の内容や生徒との対話を見る「教科指導」の3点を分析。「授業運営」「社会的・情緒的支援」「教科指導」の全ての項目で、8カ国中最高の評価だった。
 一方で、諸外国と比較し、後れを取っている項目もあった。プロジェクターやパソコンなどのICT機器利用の割合が諸外国と比べて低く、79%の授業で利用されていなかった。イギリスでは全てのクラスでICT機器が活用されており、日本に次いで低いメキシコでも非利用率は58%だった。

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