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特別活動で、日本の教育が変わる!特活力で、自己肯定感を高める

15面記事

書評

杉田 洋・稲垣 孝章 著
非認知的能力育成へ具体的改善策

 3密を避けた行動のため、学校行事の多くが中止や規模縮小などを余儀なくされ、その意義や在り方を問い直すこととなった。学校行事など特別活動は、日本型学校教育の大きな特色の一つであり、最近は海外でも「TOKKATSU」として注目され、実践が広がりつつある。
 本書は、文科省で特別活動の指導・助言に当たってきた前視学官と、学校で研究・実践を重ねてきた前校長とが対話形式で、特別活動の今日的意義と実際の指導について熱く語っていく。そして、特別活動は「自尊感情を高め、自己実現を図る」「キャリア教育の要の役割を果たす」「“チーム学校”にするには特別活動が役に立つ」と有効性を説く。特別活動は成果主義に走り、同調圧力が働き過ぎているとの批判もあり、人との関わりを大事にし、非認知的能力を育てる大切な活動として、教師の意識改革と指導の改善が必要である。
 しかし、特別活動を研究している学校は多くない。特に学級活動については教師個人が経験値に基づいて指導を行っている現状である。本書では「学級会はこうしてみよう」「学級活動(2)(3)はこうしてみよう」と具体的に述べられ、学習指導要領に登場する「合意形成」や「自己実現」「意思決定」についても解説しているので、教師の役割について理解し、実践していく上で参考になるだろう。
(1650円 小学館)
(大澤 正子・元公立小学校校長)

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