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保護者対応すきまスキル70 小学校低学年編・小学校高学年編・中学校編

15面記事

書評

堀 裕嗣ほか 編著
分岐点で間違わないために

 編著者の堀氏は全3巻シリーズの「まえがき」の中で、学校教育の現状を指摘していた。<学校教育が始まって以来、現在ほど「保護者対応」に気を遣わなければならない時代はなかったでしょう>
 残念ながら事実である。だからこそ、この現状を乗り越えていく知恵が教師に求められるわけである。その知恵が満載なのが本シリーズである。それも小学校低学年、同高学年、中学校編の3冊で編集されている。一冊の編成は、保護者対応の基本型、クレーム系、ネグレクト系の全3章からできている。
 読みながらため息が出てきたことも確かである。これほどまでに保護者対応をしっかりしないと、教師の仕事ができないのか、と。残念ながらできないのである。
 小学校低学年編でこんな一節があった。<保護者にとっての「我が子の非」を「我が子の成長」と捉えることができるように配慮して伝えることが大切です>
 保護者対応のいわば分岐点である。これを間違えると、教師や学校は厳しい状況を迎えることになる。初期対応の失敗である。
 それにしても第3章のネグレクト系に親の恋愛主義への対応まで出ていたことに仰天した。実際、報道される切ない児童虐待事例が生まれるのはこの系列である。残念だ。
(各1980円 明治図書出版)
(庭野 三省・新潟県十日町市教育委員会教育委員)

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