日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

障碍の「碍」常用漢字見送り 文化審議会が方針

2面記事

行財政

 文化庁の文化審議会国語分科会の小委員会は2月26日、「障害」に代えて「障碍」と表記する際の「碍」の字について、常用漢字表への追加を見送る方針を決めた。平成30年に衆参両院の委員会が追加するよう検討を求めていたが、小委員会は「現時点では『碍』の使用状況が広まっているとは判断できない」とした。
 小委員会のまとめによると「障害」と「障碍」は明治以降、ほぼ同じ意味で使用されてきたが、「害」の方が使われるようになったことを受けて常用漢字表に採用された。また、仏教用語に由来する「障碍(しょうげ)」も「妨げになるもの」などと良い意味とはされていないと説明した。
 小委員会のまとめでは「しょうがい」を用いる限り、「一つの表記では関係者が合意することは難しい」として当事者や関係者の間で「しょうがい」に代わる用語を検討することを求めた。一方で、地方自治体や民間での「障碍」の使用を妨げるものではないと指摘している。

公用文見直しも

 小委員会では、公用文を書く際の手引「公用文作成の要領」を見直すことも提案した。公用文の種類によって、より分かりやすい表現を使うこととした。
 小委員会の報告では、公用文を「告示・通知」「記録・公開資料(議事録・統計資料など)」「解説・広報」の三つに分類。専門知識のある人に向けた「告示・通知」は法令に沿った表記を使用するのに対し、それ以外では積極的に平易な表現を使うことを盛り込んだ。
 「語彙」を「語彙(い)」「授業の狙い」を「授業のねらい」などのように、常用漢字であっても読み手に応じて振り仮名を使ったり、平仮名で書いたりするなどの工夫を求めている。
 また、読点には「、」を原則とする、必要に応じて「?」「!」を使うといった見直しも提案している。12日に開かれる国語分科会で了承されれば、令和3年度から「新要領」に基づいた公用文の運用が始まる見通しだ。

 ※文中の「語彙(い)」は彙の字にルビ。

行財政

連載