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教員のメンタルヘルス 先生のこころが壊れないためのヒント

14面記事

書評

大石 智 著
現場の実情知る精神科医が助言

 評者は現職の頃、長く人事行政に携わったが、当時、一番の課題が精神疾患による休職者の増加であった。今も高止まりの状況にあるとの現実に、心が痛む。
 そんな思いを抱えながら本書に触れた。あの頃、本書に出合えていれば、もう少しましな対応が取れたのでは、と悔やむことしきり、が率直な読後感だ。
 著者は、精神科医。しかも、某自治体の人事担当嘱託医として全校を回り、現場の実情に精通し、その上で、専門的な諸対策について触れている。しかも、その目線が本当に優しい。よくぞ見抜いてくださったと手を合わせたくなるほどだ。
 構成が良い。教員のメンタルヘルスについて、各章のタイトルがそのまま内容を表している。まず、現状の理解、支援の仕組み、実践すべき方法、管理職の役割などが成功事例と失敗事例などを紹介しながら解説される。驚いたのは、教育委員会といった管理機関の関わり方まで言及していることだ。嘱託医の立場を有益・有効に生かしている。
 これから教員を目指す人たちへの注意や、仲間から相談を受けたときの対処法まで触れている。至れり尽くせりの一冊だ。
 ただ、このような状況に立ち至った根本原因は学校教育制度にあると、鋭く看破している著者の指摘は重い。皆で考えていくことが大切な時期にきているようだ。(1760円 大修館書店)
(八木 雅之・元公立小学校校長)

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