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高校「探究」の柱に STEAM教育の実践報告

2面記事

中教審

中教審教育課程部会

 中央教育審議会の教育課程部会が15日開かれ、文系理系の枠を超えて課題解決などを学ぶ「STEAM教育」に取り組んでいる高校の実践報告があった。文科省では、来年度からの高校の新学習指導要領で充実させる探究的な学習の柱の一つに位置付けていく方針だ。
 STEAM教育は、教育再生実行会議など政府の複数の会議で実施を求める声が上がっている。今年1月の中教審の答申では「高校における教科横断的な学習の中で重点的に取り組むべきもの」として、総合的な探究の時間や新科目の「理数探究」を中心に実践することを求めていた。
 この日はSSH(スーパーサイエンスハイスクール)の兵庫県立加古川東高校と兵庫県教委、地域連携に力を入れている高知県立山田高校の担当者がオンラインで発表した。
 加古川東高校は「兵庫型STEAM教育」のモデル校として、カリキュラムの中心に教科横断型の探究活動を置いている。普通科には「探究」を、理数科には「課題研究」をそれぞれ1年次から開設。どちらも3年次に研究論文にまとめ、学会や学校外の発表に参加させている。
 各教科・科目でも探究活動を取り入れ、地理歴史科では、政府が提供するビッグデータを使って県内の自治体の比較学習を行った。夏休みの補習期間に開く特別講座で試行し、通常の授業づくりに生かしている。学校外の専門家などを招いた各種講座は生徒に好評だが、調整のための時間確保が課題になっているという。
 地元企業や県庁の協力で総合的な学習の時間を進めてきた山田高校では、商業科を改編し令和2年度に探究科を設置。専門教科の枠を超えて、全ての教員が探究活動を支援する組織にした。
 地元の産官学の代表者をメンバーにした地域学校協働本部の強い後押しを受けて課題学習に取り組んでいるのが特徴だ。同校の担当者は将来、地域の課題を解決して貢献できる人を育てたいなどと話した。

中教審

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