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教師が悩んだときに読む本

16面記事

書評

諸富 祥彦・教師を支える会 編著
現場支援20年の実績踏まえ助言

 学校を取り巻く厳しい状況の中で日々奮闘している、全ての先生方に寄り添うための一冊である。
 著者は、教育学博士であり、臨床心理士、上級教育カウンセラー等の資格を持つ、著名な大学教授である。平成11年、「教師を支える会」を立ち上げ、現場教師のサポート活動を21年以上続けている。著者の著書や講話は、この活動実績に裏打ちされた本物であるから、教師の心に響く。
 本書は、「教師を支える会」発足20周年という区切りを記念するとともに、「教師が心身の健康を保ちながら、生きがいと誇りをもって、今後も教師を続けていくことをサポートすること」を狙いとして企画された。
 本書の中心である第4章の教師の手記を読むと、「悩んでいるのは自分だけじゃない」と実感できる。悩みや苦しみから抜け出すために大切なことは何かが徐々に見えてくる。
 著者は、「教師同士の支え合う関係が何よりも大事である」と記している。まさにそうだと思う。「同僚・管理職との関係」は、悩める教師の命綱なのだ。本書では、若手・中堅・ベテラン・管理職、それぞれの立場が抱える悩みと関係づくりのコツや、うつの基礎知識、立ち直りのプロセス等も記されている。どの章も教師の助けとなる内容である。
 座右の書として、手元に置きたい一冊である。
(1760円 図書文化社)
(谷 智子・高知大学客員教授)

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