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Classiが公立の小中学校を中心とした保護者向け連絡サービス「tetoru(テトル)」を無料で開始

8面記事

企画特集

 高等教育領域での教育プラットフォームサービスのパイオニアであるClassi株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:加藤理啓)は、2022年度4月より初等中等教育領域での保護者向け連絡サービス「tetoru(テトル)」の提供を開始する。「tetoru」は学校と保護者との距離感を程よく保ちながら、子どもの未来を守ることを目指して開発された無償サービスだ。「tetoru」プロダクト責任者の米谷和馬氏、ディレクターの安未奈氏、マーケティング担当の川口博史氏に開発の経緯、サービス内容などについて話を聞いた。


Classiは株式会社ベネッセホールディングスとソフトバンク株式会社(現ソフトバンクグループ株式会社)の合弁会社として2014年4月に設立。
写真は左からClassi本社の川口博史氏、安未奈氏、米谷和馬氏と、マーケティング本部長の林部貴亮氏

コミュニケーションのデジタル化実現で先生方の校務負担減と保護者理解の機会増を目指して
保護者・学校間のコミュニケーションをより円滑に

 ―「tetoru」開発のきっかけをお聞かせください。

 米谷 わが子が通う小学校では、学校との連絡方法が連絡帳やプリント、電話などアナログで、それに驚いたことがきっかけです。周りの共働き家庭の保護者も同じ気持ちを抱いていました。弊社が手掛けてきた高等教育領域向けの教育プラットフォーム「Classi」のノウハウを、学校・保護者間のスムーズな情報共有を最も必要とする小中学校で活かしたいと思ったのが出発点です。

 安 おかげさまで「Classi」は現在、全国の高校のおよそ半数で使われており、学校と保護者のコミュニケーション機能も多くの学校で利用されています(2019年の保護者コミュニケーション機能開始以来累計100万人以上が利用)。先生方からは「朝の欠席連絡の対応時間が減ってゆとりができた」、保護者からは「朝通勤途中に学校へ連絡するストレスが無くなりとても助かっている」といった声をいただいています。

 米谷 今の小中学生の保護者は手書きや電話に不慣れな方も多く、これからはデジタルネイティブ世代もますます増えていきます。「Classi」での豊富なフィードバックやプロダクトの開発経験、サービスを活用いただく際のサポートの知見などを活かし、学校と保護者が当たり前にデジタルでつながる状態をつくりたいと考えました。

 川口 「tetoru」を無償サービスにしたのは、そのためでもあります。連絡・配信サービスを導入している公立小中学校がまだ2、3割(Classi独自調査)と少ないのは、公教育では子どものための予算が優先され、保護者向けサービスのデジタル化が後回しにされがちなのが一番の理由だと考えています。また、有償サービスにすると予算が確保できない学校はサービスを使えませんし、広告入りの形だと公共性を重視する公教育の場では問題になることも少なくないことがわかりました。現在学校での働き方改革やGIGAスクール構想が現実化する中で、教師が教師にしかできない仕事に集中できる環境づくりが求められています。連絡ツールを世の中の当たり前にできれば、学校現場はぐっと楽になる、そのような「当たり前」な環境が学校に少しでも早く構築されるよう、連絡機能については無償にすることを決断しました。

 ―サービスの内容を教えてください。

 米谷 安心して、皆さんに広くお使いいただくために、真に必要と思われるサービスをゼロから立ち上げました。まずは学校からの連絡配信機能、保護者からの欠席連絡機能、名簿登録などの管理機能からスタートします。先生と保護者の双方にとって負担にならないよう、初期設定を極力簡単にし、起動もスムーズに行えるようにしました。現場の先生方にヒアリングしながら、使い勝手の良さを重視したシンプルな仕様にしました。

 川口 GIGAスクール構想で1人1台PCの配備がなされたものの、運用に戸惑う学校も多いようです。ぜひ「tetoru」を学校のICT化の第一歩にしていただけたらと思います。サービス提供後も、学校や保護者の声をお聞きしながら、必要とされる機能を適宜加えていくつもりです。

 米谷 将来的には保護者により多くの情報を届ける機能をつくっていきたいと思います。成績などの配信や、児童生徒からの学習成果の評価など、先生と保護者がともに子どもを見守り、成長を支えていくための機能を加え、学校と保護者をつなげるプラットフォームになることを目指します。

家庭内の情報共有、先生方の負担軽減で、子どもへのまなざしを厚く

 ―親は共働きで忙しく、先生方は校務に追われ、家庭でも学校でも大人が子どもと向き合う時間が少なくなっています。「tetoru」が、学校・家庭教育にゆとりを生む一助になりそうです。

 米谷 家庭内で同じツールを使えば、欠席や遅刻の連絡も余裕のある保護者ができますし、学校からの情報も即時に共有できるので、家庭内のコミュニケーションを深めるきっかけにもなるでしょう。

 ―そうですね。プリントや連絡帳だと情報の受け手は夫婦のどちらか一方だけになりがちです。

 米谷 家庭内の情報共有によって、子育て環境を変えていけると思っています。父親と母親が協力して子どもの育ちを支えることに寄与できるのではないかと。

 川口 学校と家庭のこまめな情報共有にも意義があります。クラス便りや学校便りは週1回くらいのペースで届きますが、「tetoru」なら情報をこまめに配信できるので、クラスの雰囲気や学校の様子も共有しやすくなり、学校の敷居の高さ、モンスターペアレンツなどの問題解決への道筋にもなるはずです。

 安 それぞれの視点の違いから、学校と保護者はときに遠い存在になりがちですが、日常的に手を取り合う余地はまだまだあると思っています。「tetoru」は、両者をつなぐ情報配信、連絡ツールとなるように「手と手を取り合う」からネーミングしました。学校と保護者が手と手を取り合って子どもの未来を築いていくために、しなやかであたたかなサービスを提供していきたいと思います。

 川口 「tetoru」がスタンダードになれば、学校と家庭が子どもにとって心地よい育ちの場になると信じています。連絡事項を伝え合うことは日常のささやかなことかもしれませんが、伝え合い、通じ合う機会の積み重ねが、学校を理解することにつながるのではないでしょうか。

 米谷 コロナ禍でオンライン授業やリモートワークが増え、学校の様子や授業の様子を知るきっかけになったという保護者が多いようです。先生の頑張りに気づくことが学校への信頼につながる、というのが一保護者としての実感です。つながれば知ることができるし、知ることはつながる第一歩になります。「tetoru」が学校の様子を伝えるきっかけになれば、お互い程よい距離感をとりながら一緒に子どもを見つめていけることでしょう。より豊かな関係性を築けるような情報の伝え方なども事例として紹介させていただく予定です。

 米谷 コロナ禍において保護者と学校とのコミュニケーションのデジタル化が叫ばれるようになり、昨年10月には文部科学大臣から「学校・保護者等間における連絡手段のデジタル化の推進」が通知されました。当社はコミュニケーションのデジタル化のいち早い実現のため、先生方の校務の負担を減らし、保護者が学校を理解する機会を増やせるよう、来春の「tetoru」のリリースに万全の準備で臨みます。

問い合わせ先=Classi株式会社  https://tetoru.jp/


「tetoru」のロゴ。先生と保護者が尊重し合い、程よい距離感で子どもを見守っていこうというブランドのステートメントを表す。
近すぎず遠すぎない関係性をつくるサービスを目指している


「“子どもの無限の可能性を解き放ち、学びの形を進化させる”という我々のミッションのためには、保護者と学校のシナジーが大切。
学校を中心として保護者や地域が子どもたちを見つめることができるサービスを、小中高一貫して進めていきたい」(林部氏)


先生は保護者から受け取った欠席連絡をいつでもどこでも確認可能。保護者は欠席や遅刻の連絡が簡単にできる。

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