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冬はノロウイルスによる食中毒にも注意 予防には感染経路を把握し、それらを断つこと

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学校給食から大規模な集団感染に
 これから訪れる11月から2月にかけて、学校現場が注意しなければならない感染症が、ノロウイルスなどの感染性胃腸炎や食中毒になる。毎年、保育所や幼稚園を中心に学校での集団感染が多数報告されている。
 ノロウイルスも低温・低湿度な環境下では感染力を高め、生存期間が長くなる。しかも、乾燥が進むと夏場ほど水分を積極的に摂取しなくなるので、喉や気管支の粘膜が乾いて傷みやすくなり、そこにウイルスが付着して感染しやすくなる。
 ノロウイルスの感染経路のほとんどは経口感染で、ウイルスで汚染された食品、手指などを介してヒトの口から入り小腸の細胞に感染する。なかでも学校で多いのは学校給食の調理者が感染していたケースで、調理した食品を教職員や子どもが食べることで大規模な食中毒を引き起こしている。したがって、調理者や調理器具などからの二次汚染を防止することが重要になる。

感染予防は念入りな手洗いとおう吐処理
 また、ノロウイルスは非常に感染力が強いため、多くの人が触れるドアノブや水道の蛇口などを通して、わずかな量でも体内に入ると感染する。感染予防としては手に付着したウイルスを洗い流すことで、とりわけ食事の前やトイレに行った後などは念入りな手洗いを心がけるとともに、清潔なタオルまたはペーパータオルで拭くこと。石鹸によりウイルスを直接失活化させることはできないが、手についた脂肪などの汚れを落とすことで、ウイルスを手指から剥がれやすくするという効果が期待できるからだ。
 学校での感染を広げないためには、子どもなどがおう吐した場合の処理が大切になる。対処法としては、半径約2mの範囲に飛沫が拡散することを踏まえ、ゴム手袋、マスク、ゴーグルを着用し、ペーパータオルや使い捨ての雑巾で拭きとり、ビニール袋に二重に入れて密封して破棄することを徹底したい。最近では使い捨てタイプの「汚物処理キット」も販売されている。

脱水状態の改善に経口補水液を
 こうした冬に多いウイルス性感染症の胃腸炎は、感染すると下痢やおう吐を引き起こし、急激に大量の体液を消失させて脱水につながりやすくなるため注意が必要だ。しかも、進行が進めば深刻な脱水症を引き起こす可能性もある。
 ウイルスから起こる下痢・おう吐が引き起こす脱水は、水分と電解質を同時に失う塩分欠乏型になるのが特長。この場合、脱水の対処として塩分を補わず水だけを飲んでしまうと、かえって脱水が進行してしまうため、水分とともにナトリウムやカリウムといった電解質を適度に補給するとともに、腸での吸収を促すための糖分の摂取も必要となる。
 そこで、有効なのが水に塩分などの電解質と糖とがバランスよく配合されている経口補水液を飲むことで、脱水状態を改善させる経口補水療法だ。飲み方としては、最初は1~5分ごとに続けて、おう吐が止まれば適量を、下痢が治まったら止める。こうした経口補水療法は軽度から中等度の脱水状態に点滴と同等の効果があることが分かっており、初期治療に有効なため、さまざまな医療機関で活用されている。
 なお、ドラッグストアや調剤薬局などで手軽に購入できる経口補水液には、大塚製薬工場の「オーエスワン」がある。近年では学校でも脱水対策や災害時の備蓄品として常備するところが増えている。

200人を超える集団感染も
 東京都で昨年8月末から今年9月までに保健所に報告があった感染性胃腸炎事例のうち、同一施設で10人以上の患者が発生した件数は、保育園で411件、幼稚園で4件、小学校で3件となっている。
 学校でのノロウイルスによる集団感染例では、17年に千葉市の小学校で児童ら31人が感染。発症した児童の吐いたものが他の児童の手に触れる、ウイルスを含むほこりが舞い上がって鼻や口に入るといった状況で感染が広がったとみられる。また、18年には仙台市内の小学校5校で続けて集団感染が発生し、そのうちの1校は児童と職員の計211人が感染した。

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