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ギフテッドの個性を知り、伸ばす方法

18面記事

書評

片桐 正敏 編著
小泉 雅彦・日高 茂暢・富永 大悟 著
豊富な具体例を挙げて解説

 ギフテッドは天から授かった才能や能力を持つ人といわれている。それはアインシュタインなどに代表される。本書は、その才能や能力に焦点を当てているのではなく、本人の生きづらさを周りが理解し、適切な環境や対応をしていくことの大切さを豊富な具体例を挙げて説明している。
 中でも発達障害とギフテッドの違いなどは興味深く読むことができた。ある意味、その多様性は、強みでもあり弱みでもあると教えている。才能と障害が、長所と短所を見えにくくするという指摘には納得できた。
 10年ほど前、入学前の新1年生の子どもと親が訪ねてきた。校長室に入るや、目が休まず動き、あらゆる情報を吸収しているように感じられた。知能指数が160を超えているので、通常学級では…と相談を受けた。早速、教育センターに連絡したが、こうした児童にどう対処すればいいかと困惑していた。
 今では、学年に1人は存在しているといわれている。こうした知識や理解がある教師に巡り合えれば、その才能は生かせるチャンスになるだろうが、その逆をしてきたのではないだろうか。
 ポイントにはアンダーラインが付けられ、イラストも多く、先生方へのアドバイスが分かりやすい。入門書としては気軽に読めて、対応への安心感を持たせてくれるギフテッド本である。
(1980円 小学館)
(大久保 俊輝・亜細亜大学特任教授)

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