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第25回「図書館を使った調べる学習コンクール」オンライン表彰式をYouTubeで配信

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 「知りたいキモチがとまらない」をキーワードに公益財団法人図書館振興財団(石井昭理事長)が主催する「図書館を使った調べる学習コンクール」は今回で25回目を迎えた。集まった作品は前年比167%と大幅に増え、106566点の応募があり、地域コンクールは38都道府県、142自治体で開催された。
 昨年12月24日に最終審査会を行い、入賞29作品・3団体が決定した。これら図書館の活用により自らの疑問を探究し優れた作品を生み出した受賞者の表彰式が2月26日(土)オンラインでYouTubeにて配信された。

【文部科学大臣賞受賞作の紹介】(敬称略)


・「しりたい!うんこのなぞ」
(調べる学習部門 小学生の部・低学年)東京都墨田区立錦糸小学校1年 長沼 奏汰(ながぬま そうた)
 内容=ぼくのうんこはなぜくさい?からスタートしたうんこ研究。うんこの正体、くささの謎、茶色い理由を次々に明らかにしていきます。家族みんなのうんこも毎日記録し、うんこの種類や状態を観察しながら、家族の健康状態を見つめます。食事の内容や運動を取り入れ、家族のうんこ改善にも努めました。その研究熱は、動物園の動物たちにも広がります。


・「わたしのこせいについて調べてみた!」
(調べる学習部門 小学生の部・中学年)千葉県柏市立柏第六小学校3年 東條 里桜(とうじょう りお)
 内容=自身の自閉症スペクトラムと向き合った東條さん。自閉症について学びながら、「ゆう通がきかない」「あいさつが苦手」といった自分の抱える悩みと、うまく付き合っていく方法を模索します。自閉症といわれる世界で活躍する有名人にも注目。彼らが残した功績を調べながら、自閉症は病気ではなく、一人一人の「個性」であることを学びます。


・「ヤマイヌ~私が解明したい謎のニホンオオカミ~」
(調べる学習部門 小学生の部・高学年)東京都墨田区立小梅小学校5年 小森 日菜子(こもり ひなこ)
 内容=博物館で見つけた謎の剥製。ヤマイヌの一種とされた剥製が、絶滅したニホンオオカミではないか?とその正体解明に挑みます。調べてみると、今まで誰も研究していない剥製であることが判明。動物の購入や寄贈について記録された当時の資料を手がかりに仮説を繰り広げます。世界に4体しかないニホンオオカミの剥製。謎の剥製は5体目となるか?


・「嫁取り噺『桃太郎』~全国の伝承昔話『桃太郎』を読み比べる~」
(調べる学習部門 中学生の部)千葉県袖ケ浦市立昭和中学校2年 倉持 よつば(くらもち よつば)
 内容=桃太郎研究を続けてきた作者。お姫様が出てくる物語を知り、全国に伝承される桃太郎にお姫様が登場する話があるのか調査します。日本各地の桃太郎を読み比べ、地域ごとに異なる物語を自分なりに分類。姫が登場するわずか3話から、本来の桃太郎に「嫁取り」の要素があったことを突き止めます。一般に知られる桃太郎を新たな視点で読み解きました。


・「治水と景観問題から、今後の災害を考える~二子玉川地区を事例として~」
(調べる学習部門 高校生の部)東京都早稲田実業学校高等部3年 矢嶋 諒(やじま りょう)
 内容=台風19号による多摩川氾濫で明るみになった無堤防地区の存在。都市部の大規模河川で治水整備が行われてこなかった理由に興味を持ちます。見えてきたのは治水と景観との対立構造。多摩川両岸にある二子玉川地区と高津地区で実施したアンケートでは、住民の防災意識の違いが明らかに。住民と行政が協力し減災につなげる行動が大切だと結びます。


・「『市民』と『小民』―高輪築堤通船口―」
(調べる学習部門 大人の部)広瀬 美智子(ひろせ みちこ)
 内容=再開発で発見された高輪堤遺構。堤に開けられた通船口に新政府と小さな町の間で繰り広げられた交渉のドラマを追います。嘆願書から見えてきたのは、鉄道建設に急ぐ政府に粘り強く訴え続けた町の努力。用いられた「市民」の言葉に、官僚と共通言語で対話を重ねる町の知性を見ます。官民の相互理解を今に伝える遺構。未来に伝えたいと結びます。

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