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熱中症計 学校で活用する効果とは~「熱中症ゼロへ」プロジェクトの報告から~

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教員、児童生徒ともに熱中症対策意識が向上
 日本気象協会の「熱中症ゼロへ」プロジェクトは、19年に全国64の学校に寄贈した黒球付熱中症計の活用について、アンケートやヒアリングした結果を公開している。
 それによると、黒球付熱中症計の活用場面は体育の授業が最も多く、体育祭や球技大会など学校行事と重なったところでも多く活用されていた。活用場所としては3分の2ほどの学校が「校庭」だったが、「体育館」でも半数以上が使用。エアコンなどの空調設備などが整っていない学校も多いことから、室内でも運動をする環境であれば熱中症のリスクがあると考えている学校が多いことがわかった。
 各校の取り組みでは、中学校・高等学校では教員だけではなく、生徒が主体的に観測や熱中症予防対策の活動に関わるケースも多くみられた。たとえば、保健委員を中心に毎日の記録を生徒自身がつける、記録をもとに部活動のメニューを調整する、保健だよりを通じて保護者への啓発を行うなど。
 黒球付熱中症計設置による効果としては、教員・児童生徒ともに対策意識が向上し、行動にも変化があった。測定により熱中症予防につながったと感じている学校は97%(とてもそう思う58%、ややそう思う39%)とほとんどの学校が効果を感じている。また、実際にヒアリングした10校においては、体調不良で保健室に行く学生が減り、医療機関での処置を必要とするようなケースはなかった。

数値の可視化が、行動・意識変化につながった
 さらに、「熱中症に気をつける意識が高まったか」という問いでは、「とてもそう思う」81%、「ややそう思う」19%と全校で意識が向上。その理由として、「数値ではっきりと危険が出ると運動を中止しやすかった」「人目に触れさせることで多くの人が気づくため、熱中症予防の意識づけになった」という声を紹介している。
 すなわち、大型の黒球付熱中症計は視覚的に児童や生徒の関心を引き、今いる場所がどれくらいの危険度があるかを可視化させたことで、熱中症予防が必要となる対象者の行動・意識変化につながったと考えられるとした。

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