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中止になった学校に向け、オンライン修学旅行を企画 大手航空会社2社に聞くこれからの修学旅行(2)

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 これまでの修学旅行において、学校現場は訪問先へのアクセスや人数、コストなどに応じて新幹線、航空機、バス、フェリーといった移動手段を使い分けてきた。だが、新型コロナウイルスの影響により旅行日数が縮小される中で、移動時間の短い航空機を利用することで行動範囲を拡げた学校もみられるようになった。
 そこで、全国修学旅行研究協会の協力のもと、航空会社2社にコロナ禍の修学旅行への対応について聞いた。

 ―コロナ禍の修学旅行で変化したことは
 修学旅行には中学が4~6月、高校が9~12月とピークが二つありますが、2020~2021年度はそれぞれが感染拡大を避けるように年度の後ろに延期し、最終的には近場への訪問先変更をした学校が多かったようです。海外修学旅行を計画していた学校でいえば、国内にシフトしようとしたけれど結局実施できなかったのが2020年度で、国内でなんとか実施したところが増えたのが2021年度でした。
 その中で、コロナ禍において変わったのは、いつもは新幹線を使っている学校が時間短縮のために近場でも航空機を利用するケースでした。これまで航空機を使ったことがない学校で意外と知られていないのが、修学旅行用の「学校研修割引運賃」(SE運賃)があることです。時期によって片道運賃が30~60%割引になるため、航空機利用のきっかけになればと思っています。

 ―新しく始めたオンライン修学旅行について
 「ANAで行くオンライン修学旅行」は、教室にいながら沖縄を疑似体験して旅行できるツアーで、ただ楽しいだけでなく、学習に使えることにも配慮しているのが特徴です。映像教材は沖縄の高校生にナビゲーターとして登場してもらい、現地ガイドとの掛け合いで物語が進む構成になっており、「沖縄の神話から未来へ」をテーマに歴史から平和・環境・食文化や音楽・SDGsまで幅広く学べます。
 映像で学習したあとは現地施設の方々とオンラインでつなぎ、意見交換などを通じて臨場感を感じられるようになっているほか、各場面でクラス対抗のクイズやグループワークなどのリアルな仕掛けを入れ、仲間意識の醸成も図れるようになっています。

 ―オンラインによる修学旅行を企画した理由は
 学校と直接関わることとして航空教室や機体見学を行っていましたが、今回は修学旅行が中止になった学校のために「代わりに何かできないか」と企画したのが始まりでした。もともと沖縄は修学旅行で最も航空機が使われていた方面であり、今後再開できたときの事前学習に使えるもの、もっといえば探究学習のテーマとして利用してもらえるような質の高い教材にしたいと思いました。
 それゆえオンラインでつなぐ施設も、学校の要望に合わせてカスタマイズできるようになっています。

 ―地域創生としての取り組みも進めていますね
 ANAの修学旅行Webサイトに、自治体と連携した地域教育旅行情報ページを新たに開設。全国各地の教育旅行情報を発信し、充実した修学旅行の提案と、交流人口の拡大による地域活性化を目指します。今後は移動手段としてだけでなく、修学旅行先で役立つSDGsなどの教育プログラムを充実させることで航空機の利用価値を高め、地域の活性化にもつながるようにしていきたいですね。

「ANAで行く オンライン修学旅行」に関する問い合わせは次のメールアドレスまで。
 akd_olse@ana-akindo.co.jp

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