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部活動指導員の活用と2023年度から始まる部活動の段階的な地域移行

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特集 教員の知恵袋

 文部科学省は2017年、学校における働き方改革の一環として部活動指導員を制度化しました。その後2020年に、2023年度から休日の部活動の段階的な地域移行が行われることが示されました。

 この発表により、今後どのような変化が生まれるのか気になっている教員の方も多いのではないでしょうか。そこで、本記事では、部活動指導員の概要のほか、2023年から始まる地域以降について解説します。

部活動指導員とは

 部活指導員とは、校長の監督のもと、顧問の代わりに単独で指導・引率を行える人のことです。2017年に学校教育法施行規則が改正されたことにより制度化しました。学校教育法施行規則では、部活指導員について次のように示されています。

 部活動指導員は、中学校におけるスポーツ、文化、科学等に関する教育活動(中学校の教育課程として行われるものを除く。)に係る技術的な指導に従事する。

引用元:e-Gov法令検索『学校教育法施行規則

 なお、2019年6月時点における部活動指導員の属性は次のようになっています。

部活動指導員の属性
・教員OB
・スポーツクラブ等の地域人材
・非常勤講師等と兼務している方
・民間企業退職者
・大学生 など

出典:文部科学省『「部活動指導員」の概要』『令和2年度概算要求(学校体育関係)について

部活動指導員制度化の背景

 部活動指導員が制度化された背景には、中学校教員の部活動時間の増加や競技経験のない教員が指導することによる負担などがあります。

 参議院常任委員会調査室・特別調査室『学校における働き方改革―教員の多忙化の現状から考える勤務時間制度の在り方―』によると、中学校教員の土日の部活動・クラブ活動の時間は、2006年度の1時間6分から、2016年度には2時間10分に大きく増加しています。

 さらに、文部科学省の『令和2年度概算要求(学校体育関係)について』によれば、2014年、「保健体育の担当ではなく、かつ担当している部活動の競技経験がない」という教員の割合は45.9%で全体の約半数を占めています。

 部活動指導員の名称や職務などを明らかにすることによって、学校における部活動の指導体制の充実を図ることを目的としています。

出典:文部科学省『「部活動指導員」の概要』『令和2年度概算要求(学校体育関係)について』/参議院常任委員会調査室・特別調査室『学校における働き方改革―教員の多忙化の現状から考える勤務時間制度の在り方―

部活動指導員の職務

 部活動指導員の職務には、部活動に係るさまざまな対応があります。

部活動指導員の職務
・実技指導
・安全・障害予防に関する知識・技能の指導
・用具・施設の点検
・大会や練習試合等への引率といった学校外での活動
・会計管理を含む部活動の管理運営
・保護者への連絡
・年間・月間指導計画の作成 など

 ただし、部活動指導員を配置する場合でも、これらの職務を教員等が行うことを妨げるということではありません。

 部活動指導員は、生徒に対する技術的な指導を行うとともに、担当教員等と連携して、日常的に指導内容や生徒の様子、事故が発生した場合の対応などについて情報交換を図ることが重要です。

出典:スポーツ庁『学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行について(通知)』/文部科学省『「部活動指導員」の概要』『令和2年度概算要求(学校体育関係)について

部活動指導員を対象とした研修

 学校の設置者および学校は、文部科学省が2013年5月に作成した『運動部活動での指導のガイドライン』を踏まえて、部活動指導員に対して事前に研修を行い、その後も定期的に研修を行う必要があります。

 研修においては、部活動指導員に次の項目を理解してもらいます。

・部活動の位置付け
・部活動の等教育的意義
・学校全体または各部の活動の目標や方針
・生徒の発達段階に応じて科学的な指導を行うこと
・安全の確保・事故発生後の対応
・生徒の人格を傷付ける言動や体罰が禁止されていること など

出典:文部科学省『「部活動指導員」の概要』『令和2年度概算要求(学校体育関係)について』/スポーツ庁『運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン

学校の働き方改革を踏まえた部活動改革

 2020年9月、文部科学省は学校における働き方改革推進本部を開催しました。そこで、学校の働き方改革を考慮した、さらなる部活動改革の推進を図るために、2023年度以降、休日の部活動を段階的に地域移行する方向性を示しています。

 部活動の地域移行後は、従来のように休日の部活動における生徒の指導や大会の引率を学校の職務として教員が担うのではなく、地域活動として地域人材が担います。
 文部科学省は、さらなる部活動改革の具体的な方向性として、次のように示しています。

・休日に部活動に携わることを希望しない教員が部活動に携わる必要がない環境を構築すること
・部活動の指導を希望する教員に兼職兼業の許可を得たうえで、引き続き休日に指導を行える環境を構築すること
・休日における地域のスポーツ・文化活動を実施できる環境を整備すること など

出典:文部科学省『学校の働き方改革を踏まえた部活動改革について』『第4回学校における働き方改革推進本部を開催し、部活動の改革などについて議論を行いました

休日の指導を担う地域人材

 地方自治体は、教員に代わって実技指導や大会への引率などを担う地域人材の確保に向けた取り組みを行う必要があります。具体的には、人材バンクの整備や活用、関係団体との連携、人材の育成からマッチングなど、民間人材を活用できる仕組みを構築します。

 域部活動の指導者が、生徒のスポーツ・文化への興味関心、体力・技能などの向上につながる指導を行うために、部活動指導員と同様の研修を行うことが望ましいといえます。

 また、休日の指導を希望する教員は、教員としての立場ではなく、兼職兼業の許可を得たうえで地域部活動の運営主体のもと従事することになります。

出典:文部科学省『学校の働き方改革を踏まえた部活動改革について

学校における働き方改革の推進に求められる部活動指導員の活用と学校関係者の連携

 学校における働き方改革の実現には、学校関係者の一人ひとりが各自の役割を果たす必要があります。

 特に、部活動においては、部活動指導員による指導を取り入れることで、競技や指導の経験がない教員の心理的負担の軽減、長時間勤務の解消などが期待できます。

 さらなる部活動改革によって学校における働き方改革を推進するには、部活動指導員と担当教員のほか、地域人材や地方自治体などが連携・協力することが重要です。

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