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校内研究を育てる その学校ならではの学びを求めて

12面記事

書評

伊東 大介・佐藤 由佳・山本 由紀・三石 初雄 著
小学校での改革の歩み、克明に

 本書には、東京都東村山市立青葉小学校の校内研究の改革と実践の過程が克明につづられている。4人の著者が違った立場から本音で校内研究を語る。初めはドキュメンタリーを読むような感覚だったが、途中から前のめりになるほど一気に引き込まれた。本気度が違う。校内研究を「こなす」から「つくる」へ改革し創造していく様子は実に魅力的だ。
 教師は「授業で勝負」といわれるように、授業力の向上を目指し切磋琢磨する校内研究は意義深い。子どもたちを思い浮かべ授業を構想し実践し、他者からの評価を得て教師は成長する。それは確かだが、その校内研究は形骸化していないか。研究発表会の協議の場はパターン化していないか。著者らは疑問を感じ動き出す。
 そこで、著者らは目的を明確にした上で、同僚の対話と共同性を重視。また教師の学びを充実させるため具体的な改善を推進。その取り組みとして「ラウンドスタディ」「学びカフェ」「個人課題の研究」等を企画、実践していく。どの取り組みも大変興味深い。タイトル通り、まさに「校内研究を育てる」実践だ。無理なく継続し、何より教師自身が学ぶ楽しさ、新しいことに挑戦する面白さを体得していく様子が伝わってくる。
 引用・参考文献の多さにも驚く。副題通り、その学校ならではの学びを求めた校内研究を創る上で気持ち良い刺激を受けるだろう。
(1980円 創風社)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)

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