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3年ぶりにリアル展示会を開催~子どもたちの未来のためにできることをテーマに~

8面記事

企画特集

DR.C医薬と共同開発した「花粉の中のタンパク質を分解する」制服・体操服(両端)。中央左が菅公学生服の尾崎社長、右がDR.C医薬の岡崎社長。

業界初の「花粉や臭いの悩みを和らげる制服・体操服」も
カンコー学生服

 スクールユニフォーム業界の先駆者として、常に新しい価値を創造し続ける菅公学生服(株)は、3年ぶりとなるリアル展示会「スクールソリューションフェア2023」を10月18日~20日にわたって東京・恵比寿で開催した。本展示会では「子どもたちの未来と、魅力ある学校づくり」をテーマに、ミライ、マナビ、らしさ、コミュニケーションの4つのブースで提案し、学校関係者の注目を集めた。

多様性に応える数年先の未来をカタチに
 現在、「制服」は品質重視だけでなく、子どもたち一人一人の多様性に寄り添った魅力ある商品を生みだすことが求められており、そのニーズは「体操服」にも波及している。本展示会の総合テーマになった「Think with」には、そんな子どもたちの未来のためにできることを一緒に考えたいという想いが込められている。
 5~10年先のありたいと望む未来の制服のあり方をカタチにした「ミライ」ブースでは、カンコー学生工学研究所で研究・開発中のプロトデザインを紹介。多様性を理解して認め合う社会の動きが広まる中で、制服も自分らしく、自由な組み合わせで「心地よく着用できる選択肢」を設けることを提案した。


「NEXTSCHOOL LIFE」をテーマにした制服のデザイン

花粉や臭いに悩む学生向けの新商品
 また、展示会と併せて行われたプレスイベントで新商品として紹介されたのが、近年増える子どもたちの花粉や臭いに対する悩みを和らげるため、創薬会社DR.C医薬と共同開発した業界初となる「花粉の中のタンパク質を分解する学生服」だ。本商品は、花粉の中のタンパク質や臭いの元となるタンパク質を分解する同社のハイドロ銀チタン(R)のクリーン技術を採用。これを制服・体操服の生地に塗布することで、室内への花粉の持ち込みを軽減する対策の一助となるとともに、防臭・抗菌効果を発揮する。
 効果の持続性を検証する洗濯実験(制服素材で30回、体操服素材で50回)の結果では、花粉の中のタンパク質低減率は、洗濯をしていない場合の99・6%から、制服素材が87・8%、体操服素材ではジャージ素材が94・1%、シャツ素材が99・0%と一定の効果が持続することが実証されている。
 こうした開発の背景には、スギ花粉症の有病率が各年齢層の中で10代が最も高く、アンケートでも、そのうちの大半の学生が「受験勉強に集中できない」と答えているなど深刻な課題になっていること。加えて、中高生は成長に伴ってホルモンの分泌が盛んになり、汗の量が増えることでにおいに敏感になる時期でもあることを挙げた。なお、本商品は来春から中学校・高等学校へ提案していく意向だ。

非認知能力を育成する探究プログラム
 「マナビ」ブースでは、カンコーマナボネクト(株)により、「非認知能力」といわれる数値化できない能力を生徒自身が把握し、意識して行動につなげられる力を育む学校向けプログラムが提案された。非認知能力の育成は、同時開催された講演会・ワークショップでも、参加者の関心が高いテーマになっている。
 その中では、卒業後の進路・就職=出口を生徒が自分事として探究していくための学びのサイクルを、先生方と一緒に開発して伴走していく「戦略的探究プログラム」。生徒の関心が高い「YouTube」制作を通じて、自分自身や学校の魅力を再発見し、アイデアをカタチにする企画実行力を身に付けるプログラムのほか、「らしくラーニング」という教科の垣根のない学びの土台となる思考の個性をつくり視野を広げるeラーニング、個人の性格や能力を測り、生徒の見えにくい能力を定量化できる評価ツールといったAI技術も関心を集めた。

「KANKO」の環境にも配慮した素材のニットブレザー
 「らしさ」ブースでは、学校の魅力や特徴を効果的に表現する制服・体操服について、「KANKO」の最新デザインを交えて提案した。サスティナブルな制服では、ハーフパンツやブルゾン、オーバーポロシャツのアイテムを追加することで、その時々の気温や体調に応じた着こなしができるもの。中高一貫校での6年間の着用を想定した高耐久素材でサイズ調整が可能なコーディート。環境にも配慮したニットブレザー素材で、身体や心にフィットしたスタイルなど。
 着用時の身体と心をリラックス状態へとサポートし、自分の持つ力を十分に発揮できるようにすることを求めた「KANKO×Phiten」では、従来からの体操服に加え、来春から制服の提案を予定している。また、スポーツ業界に貢献できる人材を育成する学校に向けた1ランク上の体操服「KANKO PREMIUM」などを展示した。


1ランク上の体操服「KANKO PREMIUM」

教育ソリューションへの姿勢が際立つ催しに
 「コミュニケーション」ブースでは、変化する子どもたちと保護者の価値観を踏まえた学校広報と各種サポートを提案した。ここでは、SDGsにかかわる活動と情報発信を支援する取り組みや学校PR動画の制作のほか、写真作品を通じて学校生活や制服デザインを発信できる「学校制服フォトコンテスト」。また、学校現場の課題や子どもたちの未来を先生方と共に考えるためのウェブサイト「Teacher with」を紹介した。
 新型コロナの影響で3年ぶりのリアル展示会となった今回。次代を見据えた制服という「ものづくり」に加え、子どもや学校を取り巻くさまざまな社会課題を解決するスクールソリューション企業へと大きく飛躍する、カンコーの姿勢が際立つ催しとなった。


学校の魅力を発信する制服・体操服

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