日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

グリコードで探究する!チャレンジプログラミング(1) ~プログラミングを通して自ら探究する力を育む~

14面記事

企画特集

ポッキーの並べ方を考える児童

 変化の大きな時代を生き抜くためには、小学校段階から論理的思考力を身に付けることが求められており、それは試行錯誤しながら解決策を導く探究する力の育成へとつながっていく。こうした中、注目されているのが、低学年からゲーム感覚で楽しみながらプログラミングの基礎的な考え方を学習できる教材「GLICODE(以下、グリコード)」だ。ここでは、実践校での活用を2週にわたって紹介。将来必要となる資質・能力を育む教材としての魅力を探った。(制作協力・江崎グリコ株式会社)

多様な思考を働かせるプログラミングの楽しさを
高学年へつなげるプログラミング教材として魅力
愛知県・愛知教育大学附属名古屋小学校

2年生
ポッキーをルールに従って並べるだけ


グリコードを使った2年生の授業(渡邊一史教諭)

 小学校では2020年度からプログラミング教育が必修化されたが、コロナ禍の中での1人1台端末導入などさまざまな課題に追われ、十分な実践ができなかった学校が多い。愛知教育大学附属名古屋小学校(阿部健一校長)も、「グリコード」を3年ほど前に導入して活用を進めていたが、一端頓挫した経緯があった。その中で、再チャレンジの機会となった2・4年生の授業を視察した。
 2年生の3クラスは、いずれも「グリコード」を使うのは今回が初めて。渡邊一史教諭の授業では、プログラミングとは機械を動かすための命令を作ることと説明したあとで、「普段の生活の中でプログラミングが使われているものは?」と質問。炊飯器やTV、ロボットといった回答を引き出した上で、「快適な生活ができるのはプログラミングがあるから。グリコードを使って挑戦してみよう」と持ち掛けると、子どもたちの興味関心が一気に高まった。
 江崎グリコが開発した「グリコード」は、所定のルールに沿って並べたポッキーカードをカメラで読み取り、キャラクターを動かして女の子のもとまで導くプログラミング教材。「シーケンス(順番に実行)」「ループ(繰り返し)」「イフ(場合分け)」というプログラミングで必要とされる3つの基礎的な考え方を、一通り学ぶことができるのが特徴だ。学校向けに用意された「授業用コース」は、小学校低・中学年での活用を想定。難易度の異なる12コースを楽しみながら、課題解決の手順を論理的に導き出す思考力を育むことができる。

「ループ」の概念を理解することがポイント

 導入部となる「シーケンス」を理解させるため、渡邊教諭は自分をロボットに見立て、どうすれば教室の窓際まで行けるかと問いかけながら、正確に命令するための実行手段を指導。その上で子どもたちは最初のステージにとりかかり、チャレンジシートにポッキーの向きを考えながら並べていく。驚いたのはカメラを使った読み取りなどタブレット操作に手馴れていることで、すぐに友達同士でクリア数を競う場面が見られるようになった。
 次のステージは「ループ」の概念を理解することがカギ。この場面では、すぐに理解してポッキーを並べる児童と「むずかしい」と声を上げる児童に分かれるようになった。それでも、友達のアドバイスに耳を傾けて問題を解いていく様子が見られるようになると、次第に「できたぁ~」とよろこぶ児童の数が増えていった。
 ただし、川口晃正教諭の授業では、これはループかな?シーケンスかな?と判断しかねているうちに授業が終わってしまった児童がいたことを反省点に挙げているように、特に低学年での活用では「ループ」の概念の定着がポイントになるようだ。

遊びからプログラミングへの興味を

 「今日はグリコードで遊ぼう!」。そのかけ声を聞き、ゲームができると知った子どもたちから大きな声が上がる。松尾裕太教諭の授業では、身の回りのプログラミングに触れることなく、すぐに「グリコード」の活用に入ったのが印象的だった。
 その意図について聞くと、「低学年は活動から入って、興味をもつことで理解が広がっていく。今日は遊びを通じてプログラミングに興味を持ってもらえれば」と答える。一方、最初に知識を持つことが動機づけになると考えたのが渡邊教諭だった。
 「グリコード」を使ってみた感想は、「ゲーム感覚で挑戦できるので子どもの食いつきがいい。ループの使い方を心配していたが、友達と助け合う程度で覚えていたので操作性もよいですね」と渡邊教諭。松尾教諭も「シーケンスからループへと考え方を切り替えさせる上で、ポッキーカードが6枚しかないのもよく考えられている。今日の授業で興味を持った子が、家でも本物のポッキーを使ってトライできるのも面白い」と評価した。


友達同士で教え合う様子も

4年生
自分でステージを作る「GLICODE MAKER」に挑戦


いろんなツールを使ってステージづくりが可能

 グリコードに登場するステージを自分で作ることができる「GLICODE MAKER」に挑戦したのが、出口敬祐教諭による4年生の授業だ。「事前に実習したグリコードは与えられた問題を解くだけの思考だったが、ステージとプログラムのどちらを修正するべきかなど、試行錯誤しながら修正していく経験ができる」とめあてを口にする。
 子どもたちの様子を見て気づくのは、「グリコード」と違って操作がタブレットだけのため、「作ってはやり直す」思考の速度が速いことだ。また、ベルトコンベアやジャンプ台などさまざまなツールが使えることから、発想力やプログラミング的な思考がより一層必要になり、学年が上がっても活用できるのも特徴だ。
 「ゴールを見越して作る、直感的に作ってから修正する両方の児童がいる。しかも、お互いに作ったものをQRコードで読み取って交換できる。だからこそ、いろんな思考が働いて、プログラミングの楽しさが分かってくるのでは。そうした点では、5・6年でScratchを習う前段階として活用するのが適している」と指摘した。
 さらに、「グリコード」についても「子ども自身で学んでいける良さがある。授業では、それを生活に使われている技術として理解させることが教員の役割」と語った。


出口敬祐教諭とQRコードを読み取る児童

試行錯誤や繰り返す体験が重要
加藤 智 愛知淑徳大学文学部教育学科(文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官)

 小学校低学年の子どもには,具体的な活動を通して思考するという発達上の特徴がある。子どもは試行錯誤したり繰り返したりして,対象に何度も関わりながら体全体で学ぶ。例えば、生活科では、身近な生き物と繰り返しかかわったり、自分が作ったおもちゃがもっとよく動くように試行錯誤したりする姿が見られる。そこでは、子どもは自分の思いや願いを実現させようと、生き物やおもちゃにかかわっている。
 今回の授業におけるプログラミング体験では、子どもたちは自分の思い通りにものを動かすためにプログラムを組む。この思考と行為のプロセスは、基本的には生活科の体験活動と同じである。一方で、生活科では、身近な対象に直接的に関わる「直接体験」が重視されるが、プログラミング体験は、コンピュータ内で疑似的に情報を扱う「疑似体験」であることに大きな違いがある。
 プログラミング体験は実物を通さない疑似体験であるが、何度も試行錯誤し、失敗を繰り返しながら体感的に解法を導き出していくという、直接体験だけでは実現することの難しい経験を提供してくれる。こうした疑似体験のよさを生かし、試行錯誤や繰り返す体験を行うことによって、子どもは次第に因果関係等をつかみ、先を予測したり見通したりできるようになる。このような思考力を高めることは、子どもたちの自ら探究する力を一層高めることにつながるだろう。

低学年と高学年の使い方
川本 佳希 グリコード開発者(江崎グリコ株式会社経営企画部)

 「グリコード」は、解くことが楽しいと思えるツール、そして作ることの楽しさへとつなげられるツールへと進化していくため、グリコードに登場するステージを自分で作ることができる「GLICODE MAKER」をラインアップ強化。論理的思考をより深く学んだり、ステージを友達とシェアしながら学んだりすることが可能になりました。
 例えば、低学年ではカメラ撮影を通じたデバイス慣れと「シーケンス」と「ループ」に特化した授業からスタート。中・高学年からは「ループ」と「イフ」を使うことでポッキーの本数を少なくする、「GLICODE MAKER」では制約付きステージの作成などを取り入れることで、プログラミング的思考として大切な「効率化を考える」学習まで発展的に活用してもらえると考えています。

GLICODEとは?

 「GLICODE(グリコード)」は、江崎グリコが開発した子ども向けのプログラミング教材。ポッキーまたはポッキーカード(※)をルールに従って並べカメラで読み取ることでキャラクターに指示を出し、ゴールまで導く内容となっている。ゲーム感覚でプログラミングの基礎的な考え方を学びながら、論理的思考力や課題解決力を身につけることができる。
 文科省のプログラミング教育ポータルでも紹介されており、これまでに560校以上の小学校で利用実績がある。Webには教材の使い方や指導案をまとめた教師用キットや授業風景動画も掲載され、初めてでも導入しやすいものになっている。(「グリコード 授業」で検索)。
 またシンガポールやタイの学校でも活用されるなど、海外でも注目を集めている。
 ※22年中に印刷用の教材データを提供予定

「GLICODE(R)」ができること

 小学校低学年からプログラミングの考え方を身につけることで、論理的思考力や問題解決能力が育つと考えられています。
 創業以来、子どもたちの健やかな成長を願ってきた江崎グリコは、社会で求められる新しい教育の力になるため、おいしいおかしを食べながら楽しく学べるプログラミング教材「GLICODE(グリコード)」を開発しました。

GLICODE(グリコード)、GLICODEMAKER(グリコードメーカー)が、学校の授業やご家庭で活用されています。
 ポッキーを使って遊び感覚でチャレンジできる「グリコードは」、プログラミングに触れる最初の一歩として適しています。「GLICODE MAKER」は、ステージを自分で作ることができ、友達ともシェアできるため、論理的思考をより深く学ぶことができます。

指導される方を応援しています!

 プログラミング教育に詳しい有識者や学校の先生方にご協力いただき、授業でご使用いただけるよう、アプリには「じゅぎょう用コース」、ウェブサイトには「指導案」「提示用スライド資料」「映像コンテンツ」をご用意しております。
 年内には印刷して授業でご活用いただける教材セットをウェブサイトでご提供予定です。

 アプリのダウンロードはQRコードから!

 https://cp.glico.com/glicode/

企画特集

連載