日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

特別支援学校と小中高を一体運営、令和6年度にもモデル事業 文科省

NEWS

行財政

 通常学級での特別支援教育の充実策を話し合う文科省の検討会議は9日、特別支援学校と小・中・高校を一体的に運営するモデル事業の実施などを柱とする報告案を大筋で了承した。障害のある子どもの校内支援体制や通級指導の充実についても盛り込んだ。近く正式に公表する。
 モデル事業では、特別支援学校を含めた2校以上が教育課程などで連携し、障害のある子とない子の交流及び共同学習を発展的に進める。現在、別のモデル事業として実施している知的障害を対象にした通級指導も行う。
 先行事例の兵庫県立阪神昆陽高校と県立阪神昆陽特別支援学校は同じ敷地内にあり、一人の校長の下、両校の生徒が互いの授業を受けられる仕組みを取っている。
 同省は早ければ令和6年度にもモデル事業を実施し、成果を踏まえて全国展開や制度化に向けた検討をする。
 校内支援体制では、さまざまな子どもが通常の学級に在籍していることを前提にした学級づくりを求めた。校長自身も特別支援教育や障害への理解を深め、校内の支援体制を整えることとした。
 校内委員会の役割の強化も図る。昨年の文科省調査で、発達障害の可能性がある児童・生徒で校内委員会が教育的支援を要すると判断したのは小・中学校で28・7%だった。報告案では校内委員会が機能を十分に発揮できていないと指摘。各校が特別支援教育コーディネーターにふさわしい教員を指名し、校内委員会が適切に役割を果たせるような体制を整えることを求めた。
 校内委員会では学級担任などの気づきを積極的に吸い上げ、学校全体で支援が必要な児童・生徒の情報を把握することとした。まずは通常の学級でできる支援や指導の工夫を検討する。その上で、通級指導や特別支援学級の必要性を考えるという段階的な措置が重要とした。
 通級指導もさらに充実させる方針だ。小学校では通級指導を受ける児童は多いが、中学校に進学すると必要な支援が受けられていない可能性があると指摘。通級指導を望む生徒が確実に受けられるよう、場の確保が急務と明記した。自校通級、他校通級、巡回指導のメリットと課題も示した。
 送迎などの負担が少ない自校通級や巡回指導の拡充を進める必要があるが、他校通級を本人や保護者が望む場合もあるため、柔軟な対応が必要としている。

行財政

連載