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先生の相談室 100の質問にズバリ回答

16面記事

書評

金子 由美子・菊池 省三・鈴木 高弘・高橋 正尚 著
学校現場の普遍的課題へのヒント

 本書は平成29年から5年間、読売新聞で連載された「先生の相談室」の記事を収録したものである。タイトル通り、現場の教員からの100の質問に対し、4人の教育専門家が回答。その質問内容を概観しただけで、日本の教育界の課題が垣間見える。
 小・中・高等学校の校種別に章立てされているので、児童・生徒を指導する悩みの違いに特徴があるのも興味深い。例えば、小学校編では「授業中すぐに答えを言う児童がいる」「外国人の保護者とどう意思疎通を図るとよいか」等。中学校編では「恋愛で勉強がおろそかになる生徒」「学習支援を生徒から断られる」等。高等学校編では「体育・文化祭に意欲を欠く生徒」「運動部の顧問の後継選びに苦慮」等。学校現場で日々奮闘する先生たちの姿がそこにはある。
 一つの質問と回答が見開き1ページに掲載されているので読みやすい。さらに回答が端的なので、学校現場で一人一人の児童・生徒や各学級・学校に応じ、すぐに実践に結び付けることができるだろう。
 とはいえ、根本的な解決を学校現場だけに求めるのは無理である。子どもたちを育む関係機関をはじめ、社会全体が問われるべきではないか。「悩める先生」だけでなく、示唆に富んでいる内容なので、多くの方が手にされ、問題解決を共に考え合う契機となる一冊になればと願う。
(2200円 中村堂)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)

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