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桃山学院教育大学 教員養成カリキュラムの持続的構築 教員養成大学としての メンタリングの方法と意義

16面記事

書評

守谷 富士彦・中村 哲・安達 有梨・八木 利津子 編著
大学教員同士の対話・交流を探究

 本書は、標題のシリーズ5冊目で、今回は、これまでの教員養成カリキュラムや授業実践だけでなく、これらに関与する人・主体すなわち教師教育者という専門職者に着目、その意図や資質・能力に関心を向けたメンタリング研究になっているのが特色である。
 第I章では、同大学での教員養成カリキュラムの持続的構築研究の経緯と到達点を整理し、さらなる新展開を展望。第II章では、養護教諭養成者同士、第III章では、社会科教師教育者同士の授業実践協働的メンタリングをそれぞれ紹介。第IV章では、教員養成大学としてのメンタリングの今後に向けて、日本の小・中学校での教員を対象としたプログラムと、海外や日本の高等教育機関の教師教育者を対象としたプログラムに着目し、その方法の動向を捉えつつ、展望を提案している。
 教師教育者であり、研究者でもある大学教員が、定期的に対話・交流するメンタリング行為は、大学における授業改善だけでなく、カリキュラム全体も改善し、大学としての教育研究の質的向上を図る意義がある。
 編著者らは、教員養成カリキュラムの持続的研究を意図する本メンタリング研究が、閉鎖的とイメージされる研究室が、いつしか開かれた空間として、その重い扉が開かれていく第一歩になることを期待。本メンタリングが、個人の能力開発にとどまらず、組織的な変化にも貢献する可能性を秘めているという。
(2200円 銀河書籍)
(規)

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