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老朽化する校舎・屋内運動場の耐震改修 文科省「公立学校施設の耐震改修状況フォローアップ調査結果」から

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建築後25年以上が8割を占める小中学校
 公立学校施設は、高度経済成長期の人口増加に伴い建てられた建物をいまだに利用しているところが多い。特に公立小中学校施設は、建築後25年以上を経過した施設が保有面接の約8割を占めるなど老朽化が深刻になっている。しかし、財源に余裕のない自治体では新築校舎に建て替えるのが難しいことから、耐震化を図った上で今の時代にふさわしい教育環境に造り替えていく、計画・継続的な長寿命化改修を施していくことが求められている。
 また、災害時には地域の避難所も担うことになる学校の屋内運動場についても、同様に老朽化が進んでいる。このため、耐震化や吊り天井対策と併せて、外装材や窓ガラス、照明器具といった非構造部材の落下防止対策を完了することが必要になっている。

対策が未完了の設置者を名指し
 こうした中、文科省は8月8日に、公立学校施設の耐震改修状況フォローアップ調査結果(4月1日時点)を公表した。学校建物の構造体における耐震化や屋内運動場の吊り天井などの落下防止対策については、2015年度でおおむね完了している。だが、一部の学校設置者において対策が完了していないことから、その後の取り組み状況について調査を続けている。
 公立小中学校における耐震化未実施の建物は、前年度から93棟少ない195棟となった。未完了の設置者は47設置者で、多い順から「北海道」42棟、「愛媛県」29棟、「山口県」20棟、「沖縄県」15棟となっている。
 小中学校における吊り天井等の落下防止対策が未実施の屋内運動場は、前年度から27棟減って118棟で、対策が未完了は63設置者であった。これも、多い順から「岩手県」12棟、「北海道」11棟、「新潟県」11棟、「島根県」11棟となっている。
 また、屋内運動場などの吊り天井以外の非構造部材の耐震点検実施率は97・3%。耐震点検を実施した校数のうち、学校設置者(専門家)による耐震点検の結果、耐震対策が不要または耐震対策が完了した学校は67・3%という結果となっている。

建物の老朽化が子どもの安全を脅かしている
 なお、前年度の同調査では、ひび割れや破損、剥離、腐朽等による仕上材や部品の落下等、建物の老朽化が主因で発生した児童生徒等の安全を脅かす不具合が、全国で2万2千件も発生していたことが明らかになっている。内訳は、「消防用設備等に動作不良・故障等が発生」9千件、「床材に浮き・はがれが発生」2・5千件、「軒裏のモルタル片等が落下」と「照明器具・コンセント・分電盤等に漏電が発生」も1千件を超えている。中には、40cmのコンクリート片が教室に落下した事例もあった。
 近年では気候変動に伴い、局地的な豪雨や竜巻などの強風による被害が増えており、こうした要因によって発生する事故を未然に防ぐ対策がより一層重要になっている。文科省も、老朽化した建物においてはガラスの破損や内外装材の落下など非構造部材の被害が拡大する可能性が高いため、安全確保の観点から、非構造部材の落下防止を含めた老朽化対策の取り組みを支援することを挙げているとともに、非構造部材の耐震点検・耐震対策が未完了の設置者に対して、個別のフォローアップを実施していく意向だ。

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