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一刀両断 実践者の視点から【第454回】

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肩書と経歴と面接

 《“茨城有力高”次期校長が偽造離婚届を提出していた》(週刊文春)という見出しの記事に茨城県教委の任用担当は驚くとともに安堵もしただろうと推測される。
 東大を出て最先端のバイオ産業をリードし、最後はこのお粗末さに関係者は「やっぱり」と感じたのではないだろうか。
 妻と離婚して若い女性との結婚のために法を犯したそのお粗末さには幼稚さを感じさせる。
 相手が「書いていない」と申し出れば偽造であることは遅かれ早かれ分かってしまう。そのことを予測できない人物が後わずかで県立高校の校長に着任してしまうところであった。
 ここで指摘したいのは肩書きや経歴に力点が置かれた選考をしているとこうした本質となる資質が見えにくくなることである。
 私はよく理科の先生の面接を担当した。肩書きと実績の面では申し分ないが教師という仕事柄、生徒と対峙してその人間力はどうかという視点でさまざまな対応例を質問すると回答に窮して泣き始める受験者も現れた。
 日常の出来事への対応に本性を露呈させるのも誠意ある面接官の使命であり力量となる。この視点からこの人物を選考し面接した担当のコメントが欲しい気もする。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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