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浸水地域にある学校施設の水害対策

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都市部で甚大化する水害

 近年では気象変動に伴う局地的な集中豪雨によって河川の氾濫などが頻発しており、指定避難所となる学校施設には浸水や土砂災害を防ぐ対策がより重要になっている。
 ただし、首都圏などの都市部における避難所には、災害発生時に避難者を受け入れる十分な収容能力はない。そのことがはっきりしたのが、2019年10月の台風19号だ。 東京と神奈川の県境を流れる多摩川で水位が上がり避難勧告が出た結果、多くの住民が避難所に押し寄せて体育館が「満員」となる事態が相次いだ。
 河川が氾濫すれば、事態はもっと深刻になる。NHKの調査によると、多摩川が氾濫した場合、避難所の約25%が「浸水想定区域」にあたることが分かった。中には、浸水が校舎の2階付近にまで及ぶ学校施設もあり、そうなれば、実際の収容人数はより下がることになる。

重要インフラは高層化を

 しかも、これは首都圏に限ったことではない。全国の公立学校の3割が浸水想定区域・土砂災害警戒区域に立地しているからだ。それゆえ学校は浸水したときに備え、上階や屋上に待機する場所や学校周辺の高層建物への避難などを確保しておくことが大切になる。
 また、受変電設備などの重要インフラは浸水を防ぐために、高台化・高層化を図ることが求められる。建物内への浸水対策では、校舎自体の床を高くするピロティ化、地下に雨水貯留槽を設置、浸水の可能性が高い箇所に止水板を設置する方法があるほか、逆流防止弁の導入やコンセント位置を修正することなども挙げられる。土砂災害対策としては、外壁等の改修や校舎の周囲に土砂を有効に遮る壁体を設置するなど、備えを強化しておくことが望ましい。

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